Timbuctoo
by
Alfred Tennyson
ティンブクトゥ
アルフレッド・テニスン
原文:https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/suppressedpoems/timbuctoo.html
あのライオンが棲む陸地の奥深くに、
気高い冒険のゴールとなる、神秘の都市がある。
—チャップマン
私は、アフリカと緑のヨーロッパを隔てる
狭い海を見下ろす山の上に立っていた。
そのとき、太陽は大西洋に沈み、
静かな空を白く染めていた優美な光は、
光か雲かは定かではなかったが、
南へと流れ、
深い、深い青色の亀裂は底知れず眠り、
空は澄み切った淡い輝きを放つ
星々に満ち溢れていた。
私は彼方の光沢のある対岸をじっと見つめた。
そこに古の巨人が己の武勇の極限を打ち立てた高い柱は、
荒々しい浸食に嫌気がさした海が
泡立つ波を食い止めるために
巨大な山を築き上げたにも関わらず、
長い時を経て地上から消え去った。
そして私は、まるで炎が空気を吸い寄せるように
かつて地球上の全ての人の心をその輝きへと吸い寄せた、
趣のある古い伝説について深く考えた/
しかし、それらは、空気が炎の命であるのと同じように
人の心の中に存在したのである。
そして、最も聖なるアトランティスよ、
お前は当時、その中心に位置する栄光に包まれた記憶だった。
波がお前を深く埋葬した。
そして黄金伝説に根ざした後のエルドラドよ。
全ての変化の衝撃にも関わらず、
全ての気まぐれな偶然の襲来にも関わらず、
人々が飽くなき憧れとともにしがみついた影よ。
壁が揺さぶられ、
街頭に青ざめた表情があふれ返る時、
真夜中の寂しいアクロポリスの、
深く奥まった柱の間で
地下からの神託を取り次げ。
その地の恐ろしい守り神の前に
深い信仰をもつ青白い巫女が跪いている。
そのとき、彼女の頭上では、恐るべき召喚に
弱々しいランプが揺れ動き、瞬いている。
それでも彼女はずっと、大理石のような膝を抱きしめ、
冷たい手を涙で濡らしながら、
自らの幻想が見せる光しか帯びることのない
その目を見つめている。
お前たちはどこにあるのか、
西の波浪の玉座、美しい緑の島々よ?
お前たちの月光の広間、杉の木陰、
お前たちの丘の花開く谷はどこにあるのか?
お前たちの花咲く岬と黄金の砂浜は
香しい風の幸せな空気に包まれているのか?
その最も低い深みが、まるで目に見える愛のように、
聖なる輝きに満たされ、それを放っている
偉大で閑雅なエリシオンを巡ってセラフィムが歩み、
透き通った光沢のある木の幹の間を巡って、
天国の聖人の色褪せない額を飾る光輪と栄光のように、
常にエメラルドの円錐の周りを回っている、
お前たちの無限の道はどこにあるのか?
その祝福された地は、
目に見えるものを何も生み出さなかったが、
その特別な栄光にきらめいていると人は言う。
その時私は声を上げて叫んだ。
「広大なアフリカよ、お前の太陽は輝いているか、
お前の丘は、古の世界の夜を彩ったような美しい都市を抱いているのか?
それともお前のティンブクトゥの噂は
古代のそれのように儚い夢なのか?」
不意に光が現れて、白くなり、閃き、減衰した!
白い翼のざわめき!若きセラフィムの輝かしい降臨!
そして彼は尾根の上の私の隣に立った。
そして、言葉にできないほどに輝くその目で私の顔を覗き込んだため、
私は慌てて両手で自分の目を覆ったが、
真昼に太陽を直視したときのような
色とりどりの斑点が目の中で踊った。
胸の下に閃く金の帯を締め、
眉の周りに絶えず変化する三重の虹を巡らせ、
強烈な光の栄華とあらゆる色調の変化に囲まれて、彼は立っていた。
「人の子よ、なぜこの山の上で一人、
過ぎゆく愛しさで地上を満たし、
うなる風に不思議な音楽を投げかけた古の夢に想いを馳せ、
遠い楽園の香りに心を奪われているのか?
あなたの感覚は鈍い死に妨げられており、
あなたの精神は泥の鎖に繋がれている。
目を開けて見よ。」
私は見た、しかし
その顔は見なかった、その過剰な輝きと、
そして彼の休むことのない目の、星のような輝きに見る
偉大な天使の心の光が驚くべきものだったからである。
私は自分の魂が力強くなり、自分の精神が
超自然的な興奮とともに
自分の中で跳ね上がり、
私は虚栄心ゆえに完全な至福の外縁と境界線の上に
一人立っている、と思うほど
広大な思考の領域を持つまでに
自分の精神的な目が大きくなったように感じた。
それぞれの消えゆく感覚が
一瞬の閃光のように
身震いするほどに鮮明に、鋭利になった。
私は見た。黒い土をまだらにする最小の粒子を、
深い大気の中の最も不明瞭な原子を、
月の白い都市を、
そのオパール色に輝く小さな湖を、
さまよう雲の雫が訪れることのないその銀色の高地を、
そしてその音のない、誰も降りたことのない、暗い洞穴を。
澄み切った銀河は古びた輝きを失って、
炎の中の炎のような、素晴らしく、鮮やかで、
生き生きした鋭い光を放つ点たちと
惑星に囲まれた太陽たちと月に囲まれた惑星たちの
想像を絶する奥行きと調和が
車輪の中の車輪のような
青白いサファイアのアーチを作っていた。
また人のざわめき、
あるいは聞いたことのない言葉を話す他のものたちの声、
そして遠い世界の多忙な生活の音が
遠い波のように、私の不安な耳に打ち寄せた。
炎のように速く、互いにそれぞれを巻き込み、抱きしめる
突き刺すような、無軌道で、身震いするような思考の迷路と、
強い衝動の噴出である、鼓動する感覚を打ち、引き裂かれ魅了された脳を駆け抜ける
あらゆる視覚と聴覚が、ともに瞬間的に拡大して緊密に結びついた。
それはまるで大きな湖で、
斜面から岩が短い間隔でバラバラと崩れ落ちて押し寄せ、
互いにぶつかり合う、それぞれが前のものよりも速く強い別個の衝撃が作り出した
絶え間なく増大する球体によって
穏やかな水面が盛り上がり、
空洞と、重なり合う弧状の隆起が織りなす
眩暈がするような影の激しい動揺のために
はっきりした円い波紋が見えなくなるかのようだった。
私が目に見える物体によって
これらのものを正確な形で言い表せているかどうかは分からない。
なぜならその精神の卓越の記憶は
今ではぼんやりとしか、私の上に甦らず
半分忘れかけた夢ほども鮮やかではないからである。
そして私は自分の現在の心の優柔不断さを
過去の明晰さと絡ませているかもしれないからである。
しかし、その時でさえ、あたかも素早い思考の奔流が
その素早さによって、私をそれ自体の本質から遠ざけたように思われる。
矢のような流れの傾斜を落ち下って行くとき、
小舟を頼りなく岸辺に結びつけて、
撥ね飛ぶ水の激しさを支配する驚くべき法則に
哲学的冷静さで思いを馳せることなど、誰にできようか?
私の思考は淀んだ水の下に潜むくすんだ虫のように、
この退屈な世界のぬかるみに、長い間うずくまっていた。
しかし、それは土が目覚める春のある日、
暗闇から栄光へと飛び立つ。
そして、左右に誇り高く
扇のように映え、中骨を持ち、強烈な輝きを放つ、
二枚の星明かりの翼を携えて
高い紫色の空を扇ぐ。
そのように、かつてとても低かった私の思考は、
今や未知の存在が住む未踏の原野を超えて、
自らを彼方へと、自由に運ぶ、
言葉にできないほどの浮力と力を感じていた。
そして私は初めて南に、
尖峰の荒れ地、そして水晶で積み上げられた城壁の上の城壁、
ドームの上のドーム、
限りなく並べられた胸壁の上の胸壁、
そして大空の上の荘厳な高さの大空を見たように思った。
その向こうには、
ダイヤモンドの光の中に
天国が地上よりも美しいように
地上のものをはるかに凌駕するピラミッドのまばゆい頂が現れた。
その卓越した高みの周りを、
回転する太陽、あるいは星、あるいはそのどちらかに似た球体が
円形の漆黒を降らせながら、高々と巡っていた。
しかし、その場所の栄光を際立たせていたのは
前面の限りなく高い、磨き上げられた金の柱だった。
それは金だったのか、あるいはより天に近い金属だったのかもしれない。
そしてその下の、誰も見つめることができない、
目も眩むほどに輝く二枚の扉は開いていた。
そして目には
ポーチと湖と果てしないホールの向こうに、
そこから雪のような衣の裾が流れ落ちている
灼熱の炎の玉座の一部が少しだけ見え、
その周りに仕えている無数の人々がちらりと見えた
—もし、私がこれらのものをはっきり見たとすればであるが―
なぜなら私の人間の脳はその光景に圧倒されてしまったからである。
濃厚な夜が私のまぶたに降りてきた。
そして私は倒れてしまった。
看病するように、彼は私を抱き起こしてくれた/
それから悲しげで、一目見たただけで
私の目を抑えきれない心地よい涙でいっぱいにした
言葉に尽くせない笑顔で、
浮遊する音楽と混じり合って
静かな夜に増水しつつある川のほとばしりのような
厳かな旋律を持つ言葉で、こう言った。
「人の心を揺さぶり、
到達できないものを目の前に示すことによって、到達することを/
そのゴールが天国の栄光の雲に包まれているあの巨大な階段を
一歩ずつ上ることを教えるために、私よりも強力な霊はいない。
最も浅い春の光とともに、
そして夏の土色の波の輝きの中で、
そして風がはしゃいで暴れ回る赤い秋に、
そして声高な冬が白く汚れない雪で岬を覆い隠す時、
私は人の心を千通りに弄び、
幻になってその目に、
—水について語る風、そして風の親しいキスを明らかにする水の—
風と波と森のハーモニーになって
その耳に訪れる。
そして人を虜にする。
そして、見えるものより高いものを感じ、悟らないほどに
心の鈍い者は稀である。
彼らは弱い目で暗闇の中の私を見ているのである。
見よ!私はあなたに私の存在を理解させ、私の充実を実感させた。
私はあなたの唇を力で満たした。
私はあなたを人間の最初と最後の住処である天国へと引き上げた。
そしてあなたは無限の年月から流れ出る主の音楽を
陶酔しながら聴いている。
私は霊である。
緑陰を広げる葉と貴重な房をつけて、
真実の生きた土壌に深く根を張り、
天の下の隅々にまで枝を伸ばしている、
伝説の偉大なブドウの木の
すべての複雑に入り組んだ導管を駆け巡り、浸透する生命である。
それゆえ人の希望と恐れは、その錯綜した暗がりの香りと
蔓の絡み合った涼しい薄暮へと避難するのである。
人の子よ、あの川があなたには見えるか?
その半透明な波が闇から湧き出し、
カンラン石のオベリスク、ミナレットと塔が並び
その宝塔につるされた鐘は甘い音楽を奏で
その庭園には堂々たる椰子が繁茂する
銀色の都市の街路を縫って、
柔らかに揺れるドームの鏡像を映しながら流れてゆくあの川が?
見よ!それがどのように過ぎ去っていくのかを。
それは通り過ぎて、砂の中に身を沈める。
私の街の鏡像をその深みに抱いた波を
外界に運ぶことに耐えられないかのように。
ああ、私をすべての目にとっての
愛しい神秘にまで高めた都市よ!
ああ、最後の玉座よ!
この輝かしい家を鋭敏な発見に明け渡さなければならない時は
すぐそこまで来ている。
その杖の一振りによって、
あの光り輝く塔たちはたちまち光を失い/
暗くなり、縮み、慄きながらあばら家になり、
荒涼とした砂漠の黒い染みになり、
背の低い、泥壁の、野蛮人の住処になるだろう。
この美しい都市がいかに変わってしまうことだろうか!」
そのように霊は語った。
そして翼を駆って天国へと飛び立った。
そして私はカルペ(*ジブラルタル)に一人残され、
月は沈んで、すべてが闇に沈んだ!
Keywords:トンブクトゥ
2025.5.30