再発性角膜びらんの半層穿刺

 

臨床像

 外傷などで大き目の角膜上皮剥離が生じたとき、一旦治った後で剥離を繰り返すことがあります。角膜上皮と実質の癒着が弱くなっているためと考えられます。

保存的治療

 起床時に痛みを感じる患者さんが多いです。夜間は涙が分泌されないため、角膜と眼瞼結膜が乾燥して癒着し、起床時に角膜上皮が剥離するためと思われます。就寝前のタリビット眼軟膏点入が有効です。

 一度剥離した場合、最低10日間は就寝時の軟膏点入をお勧めしています。その後は起床時に違和感があったとき、その夜から点入再開とします。

 角膜上皮下に混濁が見られるときは再発の危険性が高いようです

 

半層穿刺

 保存的治療で再発を繰り返す場合は半層穿刺を検討します。角膜の硬さ、針の弾性、切れ味等から25G針が適当です。

 穿孔を恐れて穿刺が浅くなると効果が出ないことがあります。実際にはそれほど深く穿刺する必要はないはずですが、浅い穿刺では角膜表面の創の長さが短くなるため効果が弱いようです。

 具体的な針の曲げ方を供覧します。先端を持針器で0.4~0.5mm曲げます。一般的なチストトームの曲げ方と同じです。ベベルの裏側が0.4mm前後になるようにします。
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 穿刺は上皮が浮いている時ではなく、正常に張っているときにします。傷跡が残ることがあるので瞳孔領は避けます。

 以下の画像シミュレーションで操作をイメージできます。角膜厚には個人差がありますが25G針で0.4mm程度の穿刺が適切と考えます。このとき角膜表面にできる創の長さは0.35mmになります。


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 穿刺中にはピントがずれるので顕微鏡の倍率は下げておきます。 

 角膜の向かって右側を穿刺するときは、針の先端を曲げる角度を弱くします。

 びらんが大きい時は穿刺を二列にします。

 

 

 

 穿刺後も就寝前の軟膏点入を10日間続け、徐々に減らします。

 

 

 

2022.4.2