下ベンガルでの説教




A SERMON IN LOWER BENGAL


Alfred Lyall




下ベンガルでの説教

アルフレッド・ライアル

 

 

訳者より:Verses written in Indiaの中の一編です。
原文テキスト:
https://www.ebooksread.com/authors-eng/alfred-lyall/verses-written-in-india-lay/page-2-verses-written-in-india-lay.shtml
原文画像:
https://books.google.co.jp/books?id=03k-AAAAYAAJ&pg=PA67&hl=ja&source=gbs_toc_r&cad=3#v=snippet&q=bengal&f=false

 

 

アラビアからカブール、スワートを経由して、伝道師としてやってきたハジー・マホメド・グバズチェ・オルフ・ムージャヒッド=ウド=ディーン・ワハビーが秘密集会で説教する。

預言者の御名を呼ぶインドの町の人々よ、
イスラームにおける私たちの兄弟愛ゆえに、汝らは私に懇願し、私は来た、
硬く不毛な国から、柔らかな水をたたえた土地へ、
砂の荒野から、見渡す限り豊かに実った地平線へと;
裸の不毛な故郷から、ナツメヤシとミルクの宴会から
汝らの宮殿、肉の鍋、絹の衣服へと;
血が容易く流され、
一族は縄張りを守り、 一人の男は自分の頭を守らなければならず;
生き暮れた旅人たちは、村に近づくにつれて、門番の火縄の赤い火花が飛び散るのを見、
主がその都を守られるのでなければ、忠実な者たちの見張りも虚しい、
柵に囲まれた城塞の国から来たのである。
ここでは異教徒が汝らを守り、汝らは扉を開けたまま眠っている。

汝らは私の援助と助言を求めている、私は汝らを導き、
イスラームの神が、汝らの古い帝国の支配権を回復されるように、
汝らの父祖が築いた町で、彼らが名づけた地方で
忘れられた信仰と、汝らが傷つけてしまった儀式をよみがえらせられるよう祈らなければならない;
汝らの企みを成功させ、
デカンのアラブ人と北のアフガン人にその霊を遣わされるように;
曲剣の一振りで、銃剣は打ち払われる。
そして、汝らは主の鎌で血まみれの収穫を得る。
汝らのために希望と繁栄を祈ろうか?誠に、そのようなことについて
人々は(疑いなく)汝らが目にしていることよりも大きな困難を克服してきたのである;
そうだ、汝らムスリムの男たちは数が多い;しかし戦う男たちは少ない。
祈ることは良いことだ―しかし実践するのはもっと良いことだ―汝らにできることは何か?
この正当な遺産、失った帝国のために戦うのか?
われわれの神は戦いの神であり、殉教者たちはその軍勢である、
その高貴な軍隊に加わるか?恥よりも死を選ぶか?
戦いに向かう時、汝らは汝らが祈っていることのために働けるだろうか?

いや―汝らの脳は食べることで鈍り、汝らの心は欲望で窒息している、
鞍の腰掛は緩んでいるし、半月刀は錆びている。
富める者も弱き者も、贅の限りを尽くしている、
汝らはワインと高利貸しの商売をしている―いや、私が言わなければならないことを聞け―

小煩い威嚇や、インド人の打撃の重さなど気にする私だろうか
バジャウルの野生の山男たちが自らの血で窒息して横たわり、
異教徒たちが足場を固めていたとき、
サイア・コーの山裾で英国の見張り兵を襲い、その場で一人を殺した私である
彼らは呪われているが、臆病者も同じだ。
汝らが馬具に腰を据え、安楽を捨て去るとき
けばけばしいタズィーア(*シーア派の祭りの神輿)や異教の異端を離れるなら
神はそのようなすべてのムスリムの男たちを助けられる;すなわち汝らを助けられる―
碑文の彫られた墓に頭を下げ、殉教者の石を崇める者よ、
死んだ隠者に祈るのは誰か、祈られるべきは神のみである―
ヒンドゥー教の祭り、鐘の音、
踊り、偶像崇拝、地獄の淫行を避けて行くとき;
汝らが懺悔のために神に跪き、もう人に対して畏縮しないとき、
強情な異教徒どもを打ち倒し、支配するのだ、しかしそれまでは
それまでは勇気を持つのだ、男たちよ;汝らの罪と無知ゆえに、
ここで私たちの信仰の灯火は暗がりでほのかに揺らいでいるだけだが、
それは、主によって灯されたのである、そして彼には影がない、
主はその時になれば油を注がれ、季節になればランプの手入れをされる。
その時、汝らは夜明け近くに、国中に響き渡る彼の声を聞き、
その警告によって眠りから覚めるだろう。
兵士に起床を促し、夜明け前に武装することを命じる、兵舎のラッパのように、
その音が朝の冷たい空気の中に、いかに鳴り響くことだろう。
汝らの心と手は強くなければならない。甘い夢を見ていてはならない、
自らを包んでいた闇が飛び去ったとき、眠っている臆病者に災いあれ、
灼熱の太陽が汝らの真上に来た時、その信仰と足元よ、堅固であれ、
ライフル銃が戦列に並び、澄んだ音色で突撃ラッパが吹き鳴らされるそのとき。

* * * *
* * * *

私の軽蔑と非難を許し、私を熱心に取り囲んで攻撃を率いるよう頼むとは、
私の言葉が汝らの心を揺さぶったと見えるな。
いや、聖戦のためには、汝らの精神は盛んではあるが、肉体は弱い、
英国人の大砲に立ち向かうには、もっと良いものが欲しい。

 

2023.11.7