遠く離れて、ハローの丘の村と学校を想う

 

On a Distant View of the Village and School of Harrow on the Hill


George Gordon Byron



遠く離れて、ハローの丘の村と学校を想う


ジョージ・ゴードン・バイロン




原文:
https://www.gutenberg.org/files/8861/8861-h/8861-h.htm#section21

 


ああ!もしユピテルが過去数年間を思い出させてくれるものなら

ヴェルギリウス

 

1.

幼い日の情景が、愛おしく思い出される。
過去と比べるなら、現在は苦い;
そのとき初めて、思考力が科学を理解し始め、
そして、長続きするにはロマンチックすぎる友情が生まれたのだ;


2.

あの頃の、友情と悪戯の仲間たちの
肖像を辿る空想は楽しい;
希望が潰えても、胸に残る
色あせない君たちとの想い出は、私にとってどれほど嬉しいものだろう!


3.

私は再び、私たちが遊んだ丘、泳いだ小川、
喧嘩した野原を訪れる;
大きな鐘の音に促されて、
先生の教えを聞きに、私たちが通った学校を。


4.

私はまた、夕暮れ時に墓石にもたれて
何時間も考え込んでいた場所を見る;
夕陽の最後の残照を見るため、
教会の敷地の険しい崖の頂き辺りを、私はさまよい歩いたものだ。


5.

私は再び、観客に取り囲まれていた部屋を眺める、
ザンガとして、私は打ち倒されたアロンゾを踏みつけたのだ;
(*ザンガ、アロンゾ:エドワード・ヤングの戯曲「復讐」の登場人物たち)
私の若いプライドを膨らませるような、拍手が轟いた、
私は自分がモソップにも勝っているのではないかと思った。
(*モソップ:ザンガ役で有名な俳優)


6.

あるいは、娘たちゆえに王国と理性を失ったリア王として、
私は深い呪いの言葉を吐いた;
大喝采と自惚れに焚きつけられて、
私は自分をギャリックの再来とまで思うようになった。
(*ギャリック:17世紀の演劇人)

7.

少年時代の夢よ、私がお前をどれほど惜しんでいることだろう!
色あせることなく、お前の記憶はこの胸に宿っている;
今は悲しく、淋しいけれども、私はお前を決して忘れたりはしない:
空想の中では、まだお前を楽しめるのだから。


8.

運命が未来に影を投げかけるとき
アイーダの全ての思い出が私を取り戻させてくれますように!
(*アイーダ、ハロー校がある丘のことをバイロンはこう呼んだ)
闇が明日の展望を覆い隠しているのだから、
私の魂にとって、もっと大切なのは過去の光なのだ!


9.

しかし、私のこれからの人生の中で、
何か新しい愉快な景色が目に飛び込んで来たなら、
歓喜に高揚して、私は言うだろう、
「ああ、私の幼年時代は、こんな日々だった。」

 

 

2023.11.7