強角膜創の一例


強角膜創の側面像の一例    


ナイフの写真を撮ります

 正面像と側面像を撮影してサイズを合わせます。
ここではMANI SL275SHを使用します。


左右のベベルの交点が先端から1.0mmにあることが分かります。
マークは1.5mmと2.0mmにあります。
     


創口作製のシミュレーション

再現性の高い創口を作製しようとする場合は結膜を切開しておきます。
低眼圧では眼球が歪んでしまうのでビスコを注入してあらかじめ眼圧を調整しておきます。

①スリットナイフを虹彩面と水平な方向に強膜に0.4mm刺入します。


②切上げを開始します。その位置の強角膜表面に水平な方向に進めるのが現実的です。


③1.5mmのラインを越えたら切り下げを開始し、創口が2mmより長くなることを回避します。


④概ねこのような形になるのが理想的と考えています。




上方から手術する場合にはナイフが上瞼に当たらないよう眼球を下転させます。


創口作製における側面像のシミュレーションは理論の整理、技術の伝達のために有用と考えます。



創口の熱変性

創口閉鎖不全の主因は熱変性と考えています。核が硬い時に注意が必要です。


超音波を続けて発振するとチップが過熱しますが、通常はスリーブの中を灌流液が流れて創口を冷却しています。これがうまくいかないと熱変性が起こります。①



溝堀り:パンチアウト回避のために吸引圧を下げた場合、スリーブ内の灌流量が少なくなって灌流液による創口の冷却作用が働きません。ローパワーではあまり問題になりませんが、この状態でハイパワーの超音波をかけると熱変性が起こります。ハイパワーの超音波をかけるときは少し吸引圧を上げてスリーブ内の灌流量を確保します。


乳化吸引:創口の端にフェイコチップを押しつけたまま超音波を発振し続けると、その部に冷却作用が働かないため熱変性が起こります。②

しかしチップの先端と創口を同時に見ることは困難です。超音波を持続的にかけるときはチップを左右に水平に振ると押しつけを回避できます。0.5mm程度の平行移動はそう難しいことではありません。パワーは概ね溝掘り時の2/3で十分です。 ③



なお超音波エネルギーの総量が同じ場合、ローパワーで長時間かけたときの方がハイパワーで短時間かけたときよりも安全です。



ハイドレーションについて

ヒーロン針をさらに曲げたものでトンネル全体に行うと効果的です。

PSDファイル



以上です。