非常に軟らかい核の分割について考えます
- 軟らかすぎる核は分割が困難なことがあります
新川橋フックを使ったDevide&Conquerにおいて核がとても軟らかく、二分割が難しいことがあります。溝を掘ってからチップとフックで分割しようとしても、フックの頭が溝の横腹にめり込んでしまいます。
ここでは側面画像から考えます。
溝を少しでも深く掘って底を薄くした方が割れやすいことは間違いありません。深く溝を掘る場合のリスクはパンチアウトです。吸引圧は可能なかぎり下げておきます。(ただし0はおすすめできません)その上でパンチアウトが起こりにくい場所を掘ります。パンチアウトはチップが後嚢に触れただけでは起こりません。(チップ先端の形はリング状です)破嚢が起こるのはチップの先端が後嚢で閉塞された状態で超音波を発振したときです。チップ先端が後嚢で閉塞されにくい場所はどこでしょうか。
手術顕微鏡で眼内を見るとき、ほとんど立体視はできないと言われています。一番深い辺りでは掘っている深さがよく分からなくなることがあります。チップのベベルが垂直より向こう(下)を向いている場合、実際に掘っているところは見えません。そして突き抜けると破嚢してしまうことがあります。
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もう少し下方を考えます。ベベルは垂直なので掘っているところは辛うじて見えます。ここもまだ突き抜けて破嚢する危険があります。
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さらに先を見てみます。フェイコチップのベベルが垂直より手前(上)を向いている場所では掘っているところがよく見えます。チップの先端を見ながら掘っている限り大きく突き抜けることを回避できます。少し突き抜けたとしてもチン氏帯で固定されているため嚢がチップを閉塞することはありません。ここを深く掘るべきと考えます。
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ベベルが良く見えないときは眼球を上転すると見やすくなります。
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深さが分からないときは上から叩くように探りを入れるのも有効です。
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最も薄くなった最周辺部にフックとチップを当てて分割し、できた亀裂を広げていくのが最も安全で可能性の高い方法と考えます。
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- まとめです