Recollections of the Arabian Night アラビアンナイトの思い出
楽しい夜明けのそよ風が
幼な心の絹の帆に気ままに吹きつけた時、
私を載せた時間の潮が
前へと流れていく時間の潮が逆向きに流れた/
そして数多くのつややかな夏の朝、
私はティグリスを、
バグダッドの精緻な金色の聖堂、
高い壁に囲まれた緑豊かな古い庭園のそばを下って行った/
私は真のムスリムであって、誓いを立てていた、
それは偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代だった。
夜、私の小舟は、花が低く咲き乱れる
木々をさやめかせながら、
芳しい、きらめく深みを進み、
シトロンの青い影を割った:
水面の上の庭のポーチには
豪奢な扉が大きく開かれていた、
ほの暗いランプに照らされた金色の輝き
そして両側には刺繍のあるソファ:
実に素晴らしい時だった、
それは偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代だった。
美しい幹のプラタナスに
守られた出口で、私はしばしば、
ボートの舳先を本流の水が流れ込む
広い運河に向けた、その
月に照らされた芝生の斜面は
ダマシン細工のようで、眠るがごとき水辺に忍び下りる
切り揃えられず、絡まり合った花々は
深い象嵌のようだった。
素晴らしい時、素晴らしい所、
それは偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代だった。
川からの動きが
滑らかな水面を隆起させ、私の小舟を
満天の星の静けさの中へと運んでいった、
そして私は、甘い香りを閉じ込め、それらが空へ
昇っていくのを枝のドームの天井で
引き止めている、柱のようなヤシの木の下の
より明るい光の中から、
再び、夜の中の夜へと
入っていった―素晴らしい時、
それは偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代だった。
さらに進んでいくと/澄んだ運河は
澄んだ丸い湖になった。
緑の岸辺の中央の噴水からは、
音楽のような無数のダイヤモンドの小川が
小さな水晶のアーチになって、
銀色の響きとともに
流れ落ちてきて、舳先の下で
火打石が火花を放っているようだった。
素晴らしい時、素晴らしい所、
それは偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代だった。
岸には、数多くの木陰を縫って
色とりどりの貝殻の小道が
深く張り巡らされていた。両側には
芳しい水辺一帯に整然と並んだ
縦の溝を彫られた花瓶と、青銅の壺の中から
東洋の大きな花々が
いくつかはその深紅の釣り鐘を半ば閉じて
低く落とし、いくつかは円盤とティアラを
広く散りばめて、時を香りで満たしていた、
偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代を。
遠くの、そしてレモンが
最も密に実をつける果樹園で
ヒヨドリが歌うとその周りから
真夜中の生き生きとした空気は消えていった/
いやヒヨドリではない:世界の闇、喜び、
生、苦悩、死、不滅の愛を所有している
終わりがなく、混ざり合った、
抑えられることのない何物かが
時を止め、所を超えて、
偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代を褒め称えていたのだ。
庭の茂みや洞窟は暗く
眠っていた:その上には夏の風に求愛されることもない
荘厳なヤシの木が並んでいた:
突然の輝きが、背後からやってきて
すべての葉を豊かな金緑色に染めた、
そして、その隙間に
素早く流れ込んで
凪いだ湖を光と闇が交差する
ダイヤモンド模様に染めた。美しい時、
それは偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代だった。
鮮やかな星の象嵌が際立つ、
頭上の紺色の深い天球を
下界の光輝がさらに暗く見せていた:
そして、私は軽やかにボートから飛び降り
銀の錨を下ろしもせずに
その壮観がどこから来たのかを不思議に思いながら
その時と所に魅了されて
岸辺の冷たく柔らかい芝生で
眠りに落ちていった、
偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代にふさわしく。
そして私は庭園に魅せられた―
楽しみの場所、数多くの丘に、
そして街の静かなざわめきに満ちた
多彩な影を持つ数多くの芝生に、
そして深い茂みから流れ出て、
荘厳な杉、ギョリュウ、
香り高い棘が密集したバラ園
背の高い東洋の灌木、そして時代の象徴が刻まれた
オベリスクの周りに漂う没薬の芳香に魅せられた、
それは偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代を称えるものだった。
長い路地の格子状の日よけの下で
目が眩んでいた私は
不意に、カリフの巨大な
パビリオンに出くわした。
彫刻のある杉の扉は開け放たれ、
中にはきらめく床、
金色の手すりのついた
広々とした大理石の階段があった、
それはその時代の様式、
そして偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代の様式だった。
八十の窓のすべてに
第五元素が輝いているかのような灯がともり、
ねじれた銀器の百万の小ろうそくから
眩しさが放たれ
虚ろな暗闇のアーチを恥じ入らせ、
そしてバグダッドの最も奥の、月光の下に散らばった
数々のドームの上に流れ出して、まるで何百もの三日月を持つ
夜の屋根が新たに昇って来たようだった、あの驚くべき時、
あの偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代を祝うために。
そして私は忍び寄って、陶酔しながら
そのペルシャ娘だけを見つめていた、
銀のまぶたの情熱的な瞳、
そして闇の光線のようなまつ毛、
そして、そのバラ色の帯の下まで流れる
芳しい黒檀のような
数多くの暗く甘美な巻き毛に飾られた、
真珠のような額を持つ、安らかな/
時の最も魅力的な女人、
偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代にふさわしい女人を。
純銀の六本の柱が、
左右に三本ずつ、重い金でできた
豪華な玉座を支えていた、
そこから花輪で飾られ、
幾何学的な花模様が刺繍され、
数多くのヒダを漂わせた金の衣の裾が落ちていた、
その上で彼の深いまなざしは
王者の誇りの歓びに微笑んでいた、
その時と所の唯一の星である
彼を、私は見たのだ―偉大なる
ハールーン・アル・ラシードの黄金時代を。
2025.11.17
*ハールン・アル・ラシード(763-809)はアッバース朝の第五代カリフで、彼の治世はイスラムの黄金時代の始まりとされています。
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/arabiannights.html