Sir Launcelot and Queen Guinevere A Fragment
ランスロット卿とギネヴィア王妃(部分)
喜びと苦しみが相半ばする魂のような、
天からの涙と微笑みを携えて
日差しの中に雨を降らせながら
乙女のような「春」が再び野に降り立った。
水晶のような霞が立ち込め、
いたる所で青空の島々が笑いかけて、
遥か遠い森の奥深くで人知れず、
そびえ立つニレの木々が
芳しい大気を吸い込んで緑を蓄えていた。
時にムネアカヒワが歌い:
時にウタツグミが力強い口笛を吹き:
時にハイタカが輪を描けば
災いを恐れて、森は静まり返った:
深く曲がりくねった黄色い川は
瀬音豊かに草の中を流れてゆき、
生命あふれる大地の上で、
うなだれていたマロニエの芽は、
完璧な扇形に広がり始めた。
そして、一年がまだ少年だった頃、
ランスロット卿とギネヴィア王妃は
高く澄んだ歓声を上げながら
鹿の潜む茂みを馬で駆け抜けて行った。
彼女は喜びあふれる「春」とひとつになっていた。
前に黄金の留め金のある
草色の絹のガウンを装い/
黄金の輪に束ねられた
淡い緑の羽飾りをつけていた。
ある時は、からみ合ったツタの網の上に、
ある時は、さらさらと流れる小川の傍に、
スミレの混じる苔の上に
彼女のクリーム色のラバは足を踏み入れる:
そして今や、震える不思議な歌声に応え
手綱をシャンシャンと鳴らして
微光揺らめく荒野を馬で跳ねまわる
妖精の女王よりも素早く、
彼女は平原を滑ってゆく。
光と影の中を素早く駆け抜けるたび、
心地よい風が彼女に戯れ、
編まれた髪から一房の巻き毛を解き放った:
華奢な指先で手綱を操る
彼女はあまりにも愛らしく、
男ならば誰しも、
その完璧な唇に一度キスするために
あらゆる至福と現世の富を投げ打って、
心のすべてを使い果たしたことだろう。
2026.1.25
・騎士の時代には春に騎士と貴婦人が森に出かけるMayingという行事がありました。
・荒野を馬で跳ねまわる妖精の女王はバラッド“Thomas the Rhymer”をモチーフにしていると思われます。
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/englishidyls/launcelotguinevere.html