Tomorrow 明日

 

Tomorrow 明日

 

I.
旦那様がお声をかけられた女性のことですか?いつのことです?去年―
旦那様が最後にいらっしゃった時、こちらの、橋のそばに立っていた?
旦那様は、お早うございます(mornin’)とおっしゃり、彼女は「明日(tomorrow)
」と返しました。
彼女の名前をご存じですか?旦那様、モリー・マギーと言ったのです。
旦那様は、由緒あるお家柄で、いつもご親切な方です、
しかし、すべてのことには訳があります、旦那様、モリーは気が触れていたのです。

II.
ええ、私はあの夜のことを覚えています。川沿いを歩いていた時のことです、
今でも、まるで夢のように、昨日のことのように思えます―
旦那様があの女性をご覧になった場所でのことです―月は細く欠けていました。
声が聞こえました―モリー・マギーと、恋人ダニー・オ・ルーンでした―
「少し飲んでるみたいね」と彼女は言いました。ダニーは「その通り。
シェイマス・オ・シェイと、ケイティの酒場で君の健康を祝って飲んでいたんだ/
でも、もう行かなきゃいけない。」「あら、どこへ行くの?」
「サセックスへ小麦を刈りに、海を渡るんだ」と彼は言いました。
「いつまた会えるの?」と彼女が聞くと、彼は「モリー、愛しい人、
明日、教会のドアの前で会おう」と言いました。
「いつ私を置いて出発するの?」と彼女が聞くと、「月曜の朝だ」と彼は言いました。
「じゃ、明日必ず会えるのね?」「明日、明日だよ、愛しい人!」
すると、旦那様、ダニーを嫌っていたモリーの年老いた母親が、
小屋から叫んで、その男から離れなさい、と命じたのです。
モリー・マギーは、ひばりのように軽やかに私の前を駆け抜けました。
ダニーは一分ほど立ち尽くしてから、暗闇のへ消えていきました。
しかし、ああ!その夜の嵐―雷鳴、そして降った雨、
谷の後ろを流れる川は、地獄も水浸しにするほどでした。

III.
しかし、翌朝、大地は穏やかで、空は光に満ちて輝いていました、
まるで栄光の聖母が眠る我が子に微笑むように―
そしてー彼女は教会の広場に足を踏み入れ、まわりを見回して、
ダイヤモンドのような涙をこぼしました、ダニーはいなかったのです。
ミサで涙を流す彼女を何度も見かけました、
しかし、旦那様、なんということでしょう、ダニーは四十年間、まったく現れなかったのです。

IV.
ああ、モリー・マギー、バラの赤と、サンザシの白、
あなたの髪は夜のように黒く、瞳は太陽のように輝いていました!
私の愛しい人、あなたのささやきは鳥の歌声のように甘やかでした!
私の宝、あなたの言葉一つ一つが、音楽のように私の心臓を鳴らしました!
王笏を持つ女王の手でさえ、あなたのものほど優雅ではなかったでしょう。
踊るあなたの足取りは、雪のように軽やかでした。
あなたが街を歩けば、太陽が雲間から顔を出したかのようでした。
シェイマス・オ・シェイはあなたの影のようでした、そして、あなたの足元にひれ伏しました。
私はあなたを、心ひとつ半、愛していました、私の愛しい人。シェイマスは
あなたのキスのためなら、自分の魂を撃ち抜きさえしたでしょう、モリー・マギー。

V.
しかし、彼女をめぐって私が彼の脳天をかち割って以来、私たちは良い友達になりました。
そして老ドノバンの葬儀で、彼は私にできる限りの仕返しをしました。
ダニーがいなくなって、若い男たちが再び彼女の周りに集まりました、
シェイマスもその一人でした、しかし彼女は皆を追い払いました。
その後、鳥のように、彼女が呼びかけに応じるかどうか、私も試してみました。
しかし、神様、モリーはどちらにもまったく、まったく聞く耳を持ちませんでした。

VI.
そして、彼女の隣人や友人たちは、朝晩、慰め、同情しました。
「あなたのダニーは、サセックスの小麦を刈りに海を渡らなかったのよ/」と言いました。
「彼はアメリカへ行ったのよ、愛しい人。そして別の人と結婚したわ。
あなたが二度とあの裏切り者の顔を見ることはないでしょう。
結婚している男を夢に見るのは、生きていても死んでからも、大罪だわ。」
しかし、モリーは言いました「彼と約束したのよ。きっとまた会えるわ。」

VII.
そして、両親が、一日のうちに天に召された後、
彼女は自分と酒に語り、ささやき、言い始めました。
「明日、明日!」そしてモロニー神父は彼女の手を取って、
「モリー、私が間違っていなければ、あなたは
ご両親とダニー・オ・ルーンに、祝福された殉教者や聖人たちと一緒に
神様の前で再び会うことを言っているのですね。」と言いました。彼女は頷きました。
「明日、明日」と彼女は言いました。欺くつもりはなかったのです、
しかし彼女は気が触れて、髪の毛は墓地に積もる雪のように白くなってしまいました。

VIII.
ああ、先月、沼地を掘っていたとき、
泥水に漬かった死体が見つかりました。

IX.
旦那様の代理人は、ケイティの酒場で私にこうおっしゃいました。
「悪魔め、すべての黒い土地を持っていけ。緑こそが祝福である!」
では、貧しい者はどこで火を焚くための泥炭を切り出せばいいのでしょう?
しかし、ああ!沼地よ、人間を丸ごと飲み込んでしまうお前を呪う!
天国には、まばゆい光や輝きを放つ沼地などありません、
そして悪魔の台所にはそれらを放たない、憎しみだけが十分にあります。

X.
神父様がおっしゃるには、エジプトの無知蒙昧の黒人たちは、
異教の王の肉体を、最後の審判の日まで保存できたそうです。
そして、なんと、猫や犬まで保存していましたが、
もしアイルランドの沼地のそばに住んでいたなら、それはもっと簡単なことだったでしょう。

XI.
そして、見つかった遺体は教会の門のそばの
芝生の上に置かれました。人々はミサへ行く途中にそれを見ました。
しかし、世代は新しくなっていて、古い世代はほとんどいなくなっていました。
私自身も、教区の誰も、彼を知りませんでした。

XII.
しかし、モリーが杖をついて、足を引きずりながらやってきました、膝がわるかったのです、
一人の若者が尋ねました、「あなたはこの方をご存じですか、モリー・マギー?」
彼女は世界の女王のようにまっすぐに立ち上がって―顔を上げました―
「彼は明日会おうって言ったのよ!」そして、死者の傍らに倒れて死にました。

XIII.
ああ、モリー、私の愛しい人、あなたたちの葬儀であなたたちが、まるで夫婦のように
横たえられた時、私たちは、あなたたちが再び生き返るのではないかと思いました。
亡くなった友人たちのために、誰もが涙を流し、乾いた目は一つもありませんでした!
音のない喉は一つもなく、聞こえていたのは「ああ!」という嗚咽だけでした。
そして、今や十人の子供の親になったシェイマス・オ・シェイが、
立派に育った子供たちとともに、まるですべてを失ったかのように、嘆き悲しんでいました。

XIV.
そして神父様は二人を、セイヨウニワトコの老木の傍の、一つの墓に葬りました、
若きダニー・オ・ルーンと、老いたモリー・マギーを。

XV.
エルサレムの花々が、草から萌えて咲き誇り—あなたたちがそうしたように—
あなたたちの十字架の上で、抱き合い、キスし合いますように!
そして、ヒバリが花の中から歌を歌いながら太陽と月へと飛び立ち、
天国にモリー・マギーとダニー・オ・ルーンのことを告げ、
聖ペテロが鍵を持って立ち上がり、門を開けますように!
そして、祝福された母、そして無数の聖人や殉教者たちと共にいて、
そして、永遠に「アヴェ・マリア」と「主の祈り」を歌い続ける方が
サセックスで小麦を刈るより良いことは、十字架に誓って、確かです。

XVI.
さて、私は見たこと、聞いたことを、旦那様にすべてお話ししましたので、
旦那様は私に、旦那様の健康をお祝いするためのポティーンを一杯くださるでしょうね。

 

 

*アイルランドが舞台です。原文はHiberno-Englishと呼ばれるアイルランド英語で書かれています。泥炭に埋まった死体は長期にわたって保存状態が良い場合があります。ポティーンとはアイリッシュ・ウイスキーのことです。
2025.10.13
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/tiresias/tomorrow.html