The Voyage 航海
I.
港口に揺れる色とりどりのブイを
我々は後にした/
南に急ぐにつれ、我々の心は
狂おしいほどの喜びに踊った:
広い大海原や入り組んだ海岸の
あらゆる音と眺めが何と新鮮だったことだろう。
我々は、愉快な世界が丸く、
航海はいつまでも続けられることを知っていた。
II.
暖かいそよ風は額に吹きつけ、
索具は乾いた歌を歌い、帆は歌を歌った:
舳先についた貴婦人の頭は
鋭い波しぶきを上げ、疾風をかわして行った。
広大な海のうねりが竜骨にぶつかって、
そして後ろに流れて行った、流れは非常に速く、
我々は大きな船が揺られ、よろめくのを感じた、
まるで太陽に向かって航海しているようだった。
III.
太陽が立ち去り、そして夜の敷居を燃やし、
大海の炎の航路から落ち、
柱のような光の下に眠るのを、
我々は何度見たことだろう。
薄明の紫色の衣の裾が
ゆっくりと下ろされ、
地球の眠りを抜けて、我々は何度
夜明けへの突入を繰り返したことだろう。
IV.
一晩中、新しい星が水平線から出て来ては
まぶしく目に飛び込んできた/
我々が進むにつれて、刻一刻と水平線が動くため、
星たちは素早く昇っていった。
月はむきだしで、波打つ草原のような
家影のない海のはるか上を行き、
あるいは、自身の暈の薄暗い盾の真ん中に
銀色の飾りのように輝いていた/
V.
尖った小島が形を変え、
丘の上の高い町がぼんやりと見えて、
我々は北の岬の長い列と
露に濡れた北の緑の牧草地を通り過ぎた。
我々はより暖かい波に出会い、
砕ける波の長いうねりが
ナツメグの岩や丁子の島々を洗う
果てしない東の海を深く突っ切って進んで行った。
VI.
炎のように燃える山々のそばを、あるいは雲の柱や
黒い松の木を幻想的にする
灰色の雨が降り注いで、低い海岸線と震える海面を暗く覆い、
すっかり影になった山々のそばを/
砂浜と溶岩の湯気が立つ平地、そして
巨大な水量の河口のそばを、追い風に乗って我々は疾走した。
通り過ぎるとき、丘や
深紅の混じった森は束の間光り輝いた。
VII.
幸福な気候の百の海岸よ、
帆船の横をお前たちがどれほど速く流れていったことだろう!
時に海全体が燃え、時に
我々の炎の航跡が闇を引き裂いた/
時に妖精の棲家の隠された船着き場から、
裸の手足や花や果物とともに
木彫りの船が飛び出して来た、しかし我々は果物や花のために
立ち止まったりはしなかった。
VIII.
ひとつの美しい幻が昼も夜も
何もない水の下に消えていった、
それでも逃げていく彼女に追いつこうして
我々はその幻を追いかけ続けた、
その顔は永久に見えなかった、
そして遥かな水平線の上に留まっていた/
しかし、どの男もつぶやいた「ああ、私の女王よ、
あなたを手に入れるまで追いかけていきます。」
IX.
そして時に彼女を、我々は見失い、時に彼女は、
黄金の空気でできた空想のように輝き、
時に彼女は、船首に近づいて
確かな美徳のように、美しい知識のように見え、
時に彼女は、空しく砕ける波の上に高く
天国の希望のように、海に君臨していた。
そして時に彼女は、切っ先が逆になった
血を流すことのない自由の剣を帯びていた。
X.
そして、我々の中にただ一人―我々が
好かず―好かれることが稀だった者がいた:
彼は遠くが見えなかった、目が霞んでいた:
しかし、彼は我々のすべての目を病んでいると決めつけた。
「愚か者の船だ」それでも彼は叫んだ。
「愚か者の船だ」彼は冷笑して泣いた。
そしてある嵐の夜、彼は身を投げ、
我々はその上を行った。
XI.
そして、夜だろうと朝だろうと、
我々を帆は畳まず、錨を下ろさなかった/
我々はこの世の栄光を愛したが、
自然の法則を軽んじた/
なぜなら、突風は吹き荒れ、荒れ狂い、そして止む、
しかし、渦巻く風の穏やかな中心で、
そして強い逆風の中で自由自在に
帆を操る者たちはどこから来たのだろうか?
XII.
再び我々は寒い気候へと戻ってきた、
船に導かれるまま進んできたのだ:
今や航海士は盲目で船長は足が悪い、
そして乗組員の半分は病人か死人だ。
だが、目が見えなかろうが、足が悪かろうが、病気だろうが、健康だろうが、
我々は前を行くものを追いかける:
我々は、愉快な世界が丸く、
航海はいつまでも続けられることを知っている。
2025.11.2
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/englishidyls/voyage.html