St. Telemachus 聖テレマコス

 

St. Telemachus 聖テレマコス

 

燃え盛る山が、地球を取り巻くほどに高く
猛烈な灰を投げ上げたのだろうか?
キリスト生誕後四百年目の夏、
日ごと血のように赤い夕暮れ時、怒りに燃える夕日は、
もはや太陽神に捧げられていない古い神殿の
崩れ落ちた廃墟の上に立てられた十字架に照りつけ、
さらにその向こうの巨大な斜面を
炎のように染め上げていた。そこで
十字架を立てた敬虔な男、
人々と一言も言葉を交わすことのなかった男、
聖テレマコスが洞窟の中で断食と祈りを捧げていた。
 夕暮れごとに、その痩せこけた隠者は
荒れ果てた神殿を訪れ、
そこで廃墟をじっと見つめ、
しばしば低い声で「ガリラヤ人よ、汝は勝利した」と呟き/
時に神像の砕けた破片を蹴りながら、さらに大きな声で
「ガリラヤ人よ、汝は勝利した!」と叫んだ―しかし、その
不気味な深紅の光に包まれた時—「大地が
西の方で燃えているのか?それとも悪魔の神が
その没落に怒っているのか?」と問いかけ、そして「目覚めよ、
怠惰な夢想家よ。自己犠牲の愛ではなく、
自己抑制の人生を送っている者よ」という答えを聞いた。
そしてある時、影のような戦士たちが月を横切り、
またある時、翼をもつ者が彼の傍らをかすめ、
西の方を指差したように思った、
そして耳元で「ローマ」という囁きを聞いて、
彼は心中で「神のお召しだ!」と叫んだ。
そして立ち上がり、その破滅的な栄光の中へと
ゆっくりと下って行き、百もの夕日と
西へと巡る星々の軌跡を追って/荒野や畑、
異国の言葉を話す町々を通り過ぎ、
旅を続けた/そして夜明けごとに、
 彼の影はローマへと伸びていった。
足を病み、旅に疲れ果てた彼は、ついに目的地、
キリスト教徒の都市にたどり着いた。しかし、そのすべての輝きも、
柱廊に囲まれた宮殿の壁の間を飛び過ぎる、
翼のある姿だけを探す彼の目を
惹きつけることはできなかった。やがて、
恥知らずな笑い声、異教徒の誓い、
そして冗談と、残忍な競技について口論する
頑ななローマ人とともに群衆が通り過ぎていった/
老いと疲労でほとんど耳が聞こえなかった彼は
「神のお召しだ」とつぶやきながら、
押し寄せる人々の流れに身を任せ、
まるで引き潮に漂う老朽船のように、
巨大なコロッセオへとたどり着いた。檻の中の獣は、
かつてキリスト教徒の血を求めて咆哮したときのように、咆哮した。
三人の奴隷が死んだライオンを、もう一人は
死んだ男を引きずっていた。彼はよろめきながら中に入り、
何も見えなくなって座り込んだ/しかし、外の真昼の
日光に眩んだ老いた目が、つかの間の暗闇から回復した時、
彼は目を上げ、頭の上から血のように
赤い天幕が揺れているのを見た。
土ぼこりは人間の血の蒸気を立ち昇らせ、
剣闘士たちは戦いに向かい、
八万人のキリスト教徒の顔が、人間が人間を
殺す光景を見つめていた。まるで大きな衝撃が
麻痺した手足を蘇らせるように、
天からの突然の力が、彼を再び少年のように変えた。
彼は飛び上がって、階段を軽やかに駆け下り、
獣と人間を隔てる柵を飛び越え、
剣闘士たちの剣の間に身を投げ出して「人々のために
死なれた御方、イエス・キリストの御名において、
やめよ!」と叫んだ。その直後、死のような静寂が訪れ、
そして蛇の群れのようなシューという音、そして
荒れ狂う海のような轟音、そして彼を打ち殺す石の雨、そして
再び死のような静寂が訪れた。
 彼の夢は世界を目覚めさせる行動になった。
狂乱した群衆が半ば呆然として彼の死体を
見つめる中、あの広大な円形競技場に集まった
高潔な心を持つすべての人々には、恥辱の震えが走った。
彼の死は浴場やフォルムで語り継がれ、
説教者たちは彼の最期の言葉を繰り返し語り、
その言葉は消えることなく響き渡って、ホノリウス帝の耳に届き、
彼は、ローマはもはやこの古代の異教の欲望に溺れ、
人間が人間を殺す血で祭りを汚してはならないと布告した。

(ヨーロッパの統治権を継承したホノリウス帝は、以下の出来事をきっかけに、ローマで古くから行われていた剣闘士の試合を廃止した。禁欲的な生活を送っていたテレマコスという人物が、この目的のために東方からローマにやって来た。そして、その忌まわしい見世物が行われている最中に、競技場に入り、アリーナに降りて、武器を振り回して互いに殺し合う者たちを止めようとした。しかし、この殺戮劇の観衆は、そのような流血を喜ぶ悪魔のような狂気に満ちており、平和を説くテレマコスを石で打って殺してしまった。このことを知った立派な皇帝は、この悪しき見世物を中止させたのである。―テオドレトスの教会史)

 

 

2025.11.5
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/deathofoenone/telemachus.html