Margaret マーガレット

 

Margaret マーガレット

 

I.
 ああ、愛らしくも青白いマーガレット、
 ああ、類いまれなる青白いマーガレット、
何が君の瞳に、通り雨に差す月の光のような
涙の力を灯したのか?
愛しい人よ、誰が君に授けたのか、その憂いに沈む心と、
  青白い顔という、人間ならでは恵みを、
  タネツケバナの香りのように
甘美で今にも折れそうな君の憂鬱を?
西へと流れて行く曲がりくねった大河から、
夕映えに照らされた森から、
  外界のあらゆるものから、
まるで虹と太陽の間に立っているかのように
  君は涙に濡れる優美さを勝ち得た。
話しかける前の微笑み、
 透き通る頬のえくぼは、
 すべての心を包み込み、
音のない繊細な哀しみの
  静かな喜びで満たしていく、
  それは羊毛のような雲の夜を渡る月が
 自らの周りに広げる
柔らかな琥珀色の輪のようだ。

Ⅱ.
君は安らかに留まったまま、
  争いのざわめきを聞くのを好む、
  しかし人生の苦難の中へ足を踏み入れることはない。
君の魂は戦いの騒乱が生み出した
  凪いだ海のようだ。
君は宵の明星、
  いつだって闇と光の間に留まっている:
骨折りの一日の和らげられた
  残響が君に届いて、芳醇な光のきらめきが
  夜の縁にいる君の傍らを漂っていく。

Ⅲ.
マーガレットよ、それが何だというのだろう、
  獅子心王プラタジネットが牢獄の格子越しに
褪せてゆく星たちを見上げて
  いかなる歌を歌ったからと言って?
   この上ないマーガレットよ、誰が語れようか、
シャトレ広場で断頭台の斧が
  燃え盛る脳を真実の心から切り離す直前に
  彼が心から愛した彼女の、
   まさに目の前で抱いた最期の激しい想いを。

Ⅳ.
君が生まれた日、君の守護霊は
  妖精の盾を作って君に授けた。
君の哀しみ、哀しみの影だけが、
  本物の哀しみを遠ざけるのだ。
君はあのような孤独の中を歩むことはない、
  双子の姉妹アデリーンと比べたとき、
君は神々しさにおいて劣らず、
  その心の動きはずっと人間らしい
君の髪はより暗く、そして
  その瞳もいくらか濃い色を帯びている、
  あれほど透き通った青ではない、
  けれどその瞳は優美な
悲しい共感の露にいつも震えているのだ。

Ⅴ.
  ああ、愛らしくも青白いマーガレット、
  ああ、類いまれな青白いマーガレット、
頬にかかる巻き毛を束ねて:
降りて、降りてきて、私の話を聞いてくれ:
  日は今まさに沈もうとしている。
並木のアーチは高く影が濃い、
  露を含んだかすかな光が
   葉の多いブナの間で揺らめいている。
哀しみの宴から立ち上がってくれ、淑女よ、
  君は一日中、喜びと哀しみの間に座って、
   それぞれにささやきかけているのだから。
せめて、芝生の向こうを眺めてくれ、
 君の部屋の軒下から顔を出して
見下ろしてくれ、そしてジャスミンの葉越しに
 その青い瞳を、夜明けのように私に投げかけてくれ。

 

 

2026.1.12
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/margaret.html