Mariana in the South 南国のマリアナ
足元に黒い影をひとつ落とし、
見渡す限りの平原で照り輝いているその家は
重苦しい熱気に鎧戸を固く閉じ、
埃にまみれた蔓草の中で沈黙している。
右手にはうっすらと青い山の端、
目の前には干上がった川床、
遠い浜辺には広がるのは
まばゆい砂と輝く入り江の浅瀬。
「アヴェ・マリア」と彼女は呻いた。
「アヴェ・マリア」と夜も朝も、
「ああ」と彼女は歌った。「たったひとり、
忘れられて、空しく愛するなんて。」
悲しみの歌は深まり、
最も深い茶色の流れるような巻き髪を
彼女は薔薇色の細い指先で
額から胸元へと
ゆっくりと左右にかき分け、その間から、
密やかな聖堂に灯る火のような、
涙も出ないほどの悲しみの住処、
神々しくも憂いに満ちた瞳が現れた。
そして「アヴェ・マリア」と彼女は呻いた。
「聖母様、夜も朝も悲しいのです」
そして「ああ」と彼女は歌った「たったひとり、
忘れられて、空しく愛するなんて。」
やがて海の上で空が
深紅から深いオレンジ色に変わるまで、
彼女は聖母の前に膝をつき、
低く身を屈めて呟いていた/
「お母様、どうかお恵みを、
私をこの重荷からお救い下さい。」
すると水鏡の上に
彼女の完璧なまでに清らかな顔が映った。
「これが、そうなのでしょうか、」と彼女は呻いた。
「夜も朝も、あの人が褒めてくれた姿なのでしょうか?」
「ああ」と彼女は言った。「でも、私はひとり目覚める、
忘れられて眠り、空しく目覚めるのです。」
鳥は歌わず、羊は鳴かず、
空を横切る雲ひとつない、
ただ、太陽は刻一刻と熱くなって、
石だらけの乾いた大地と、湯気を立てる塩を焼きつける/
いまや正午、彼女はふたたび眠りに落ち、
膝まで届く山の草に包まれて、
吹き抜ける故郷のそよ風と、
谷間を流れる小川のせせらぎを聞いていた。
眠りの中で、彼女は静かに呻いた。
そして夜や朝と同じように、呟きながら
思った「私の魂はひとりきり
「忘れられて、空しくここを歩いているのだわ。」
夢を見ながら、それが夢であることは知っていた。
彼がそこにいるように、いないように感じていた。
目が覚めた。小川のせせらぎは消え、
外では絶え間ない眩しさに、
干からびた小さな柳が病んで縮み上がっていた。
川床は埃っぽく白み/
溶鉱炉のような激しい光が、
目が眩むほど壁に照り返していた。
彼女は声を押し殺し、夜や朝よりも
いっそう深いうめき声を上げた、
「優しいお母様、ここでひとり
忘れられて生き、空しく死にたくないのです。」
そして、彼女は立ち上がって、胸元から
彼女の価値がまだ息をしている古い手紙を取り出した。
そこには「愛は、地上で最も愛らしいものに対して、
真実でなければならない。」と書いてあった。
ひとつの幻が戸口を通り過ぎ、
冷ややかに見つめて、言ったような気がした
「だが今や、お前の美しさは流れ去っていく。
だから永遠にひとりでいるがいい。」
「ああ、残酷な心よ」彼女はトーンを変えた。
「そして残酷な愛よ、その終わりが嘲りだなんて、
ひとり残されることが結末なのですか、
忘れられて生き、空しく死ぬことが?」
けれど、日が暮れゆく時、
時に幻が戸口を通り過ぎ、
彼女の瞳を覗き込んで言うことがあった、
「しかし、お前はもはやひとりではなくなるだろう。」
そしてあまねく地上に炎を向けて、
炎熱に炎熱が続いた一日は終わりを告げた、
壁から伸びる一本の黒い影は
ゆっくりと円を描いて東に回った。
「昼から夜へ」と彼女は呻いた、
「昼から夜へ、夜から朝へ、
そして私は昼も夜も、ひとり取り残されて
忘れられて生き、空しく愛している。」
夕暮れに蝉が乾いた声で鳴き、
海のような音が聞こえた/
彼女は鎧戸を跳ね退け、
バルコニーにもたれた。
バラ色に輝く空間の中で
大きな宵の明星が彼女の涙にきらめいた、
そして音のない天球の色を深めながら、
夜が天空を次から次へと昇って行った。
そしてすすり泣きながら、彼女は呻いた、
「朝の来ない夜がやってくれば、
私はもう、ひとりきりではなくなる、
忘れられて生きることも、空しく愛することも。」
2026.1.12
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/ladyshalott/marianasouth.html