The Oak 樫

 

The Oak 樫

 

あなたの人生を生きよ、
 老いも若きも、
あの樫の木のように、
春には輝き、
 生きた黄金になり/

夏には豊かな
 そして/
秋にはより穏やかな
色合いに変って
 再び黄金になる。

すべての葉が
 ついに落ちてしまっても、
見よ、彼は立っている、
剥き出しの
 幹と枝の力で。

 

 

 

2025.5.13
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/demeter/oak.html
テニスン詩集 (泰西詩人叢書 ; 第18編)  井口正名 訳  大正15年
https://dl.ndl.go.jp/pid/962544/1/51

Ode Sung at the Opening of the International Exhibition 万国博覧会開会式に捧げるオード

 

Ode Sung at the Opening of the International Exhibition
万国博覧会開会式に捧げるオード

 

I.
幾千もの甘美なる声を、高らかに響かせ、
この広大なる殿堂に、地上の発明品を納め、
そして、ここ科学、芸術、そして労働が無数の豊穣の角杯を
わたしたちの足元に注いでいるところに
再び平和のうちに、諸国民が集うことを許し賜うたお方を、
目に見えない遍在の主を讃えよ。

 

II.
おお、この祝祭の黄金の時に哀悼される、
まだ見ぬ王たちの静かなる父よ、
これゆえ、この全てゆえに、わたしたちは感謝の涙を捧げます!
(*ビクトリア女王の王配アルバート公:1951年の第一回ロンドン万博を成功させ、1861年に崩御、この詩は1962年の第二回ロンドン万博のときに書かれた)

 

III.
世界が注目した計画は、あなたのものでした—
そして、見て下さい!労苦の跡が伺える
何マイルもの宮殿を/
見て下さい!モデルとデザインに富んだ
巨大な通路を/
収穫の道具と農業、
織機と車輪と機械、
暗い鉱山の奥底の秘密、
鋼鉄と黄金、そして穀物とワイン、
粗い、あるいは妖精のように繊細な織物、
日の出の兆しのある地平線、
極地の不思議、そして喜び、
西と東からの驚異、
そして半神の形と色彩!
全ての美、全ての実用、
一つの美しい惑星が生み出せる全て。
  あらゆる星の下から運び込まれ、
あらゆる大海原の上から吹き寄せられて、
そして、人生に苦痛が混ざり合うように、
  平和の業に戦争の業が、混ざり合っています。

 

IV.
    ゴールはまだずっと遠いのだろうか?
    遠い、どれほど遠いかは、言葉では言い表せない、
    今日、わたしたちはわたしたちの夢を見よう。

 

V.
おお、あなた方、考える賢者たち、統治する賢者たちよ、
成長する商業を、その最後の鎖から解き放て、
そして、全ての空の下の幸福な港へ、
美しい白い翼をもつ平和の使者を飛ばせよ、
そして、季節に黄金の時を混ざり合わせよ、
全ての人々が自分の利益を他人のそれの中に見出し、
そして、全ての人々が気高い兄弟愛のために働き、
鎖帷子の艦隊と武装した塔を打ち捨て、
そして、自然の力に従って政りごとを行い、
そして、平和の全ての果実を集め、その全ての花によって戴冠する日まで。

 

 

 

2025.5.19
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/enocharden/odeopening.html

The Higher Pantheism 高等汎神論

 

The Higher Pantheism 高等汎神論

 

太陽、月、星、海、丘、そして平原—
これらは皆、ああ魂よ、すべてを統べておられる方のお姿ではないのだろうか?

そのお姿は彼そのものではないのだろうか?たとえそれが私たちの思い通りのものでなかったとしても?
夢はそれが続く限り真実である、そして、私たちは夢の中に生きているのではないのだろうか?

地球、確かに存在する星たち、この身体と手足の重み、
これらを感じることは、あなたの彼からの分離の兆しと徴ではないのだろうか?

世界はあなたにとって暗い。あなた自身がその理由である/
彼は、「私は私である」と感じる力を持つもの以外の全てではないのだろうか?

栄光はあなたの周りに、あなたの外にある/そしてあなたは
彼を消えた微光、息を止められた輝きと暗闇にして、あなたの運命を全うする。

彼に語りかけよ、彼は聞かれている。そして霊は霊に出会うことができる—
彼は呼吸よりも近く、手足よりも近い。

神とは法則である、と賢者たちは言う/ああ魂よ、喜ぼう。
彼が法則によって雷鳴を轟かせられたなら、その雷鳴はやはり彼のお声なのだから。

法則は神である、と言う者もいる。神などいないと言うのは愚か者である/
なぜなら私たちの見る力は、水の中で真っすぐな棒が曲がって見えるようなものでしかないからである/

そして人の耳は聞くことができず、人の目は見ることができないからである/
しかし、もし私たちが見て聞くことができるとすれば、そのお姿が—彼なのではないだろうか?

 

 

2025.5.17
https://www.poetryfoundation.org/poems/45323/the-higher-pantheism

Northern Farmer: Old Style 北の農夫:オールド・スタイル

 

Northern Farmer: Old Style 北の農夫:オールド・スタイル

 

ずいぶんと長い間どこに行っていたんだ?わしがここで一人ぼっちで寝ているのに。
看護婦?看護婦のことなど考えもしなかった。医者はもう来て帰ったよ。
もうエール酒は飲んではいけないと言うが、わしは馬鹿じゃない。
わしのエール酒を持ってきてくれ、わしは自分のルールを破るつもりはないんだ。

医者たちは何も知らない。やつらはいつも真実とは違うことを言うからだ。
やつらが言うことは何の役にも立たない。
わしはここでずっと、毎晩エール酒を一杯飲んでいる。
そして、市の立つ晩には必ず1クォート(*約1リットル)飲んで、もう40年になる。

牧師もまた、わしのベッドに座っていた。
「全能の神はあなたを御許に召そうとされています、友よ」とやつは言った。
そして、わしの罪を告げ、十分の一献金を納めろと言ったので、わしはそれを手渡した。
わしは土地に対してそうしてきたように、やつらに対して義務を果たしたのだ。

やつには学識があるのだろう。わしがやつに学ぶことはあまりない。
しかし、やつはベッシー・マリスの子について責めたのだ。
わしがいつも、地主様と教会と国のために投票してきたことを知っているにもかかわらずだ。
そして、最悪の時代にもわしは決して税金を滞納したことはなかった。

サリーが死ぬ前は、いつも教会に行っていたし、
わしの頭の上でやつがコガネムシのようにブンブン唸るのを聞いていた。
やつが何を言っているのか全く分からなかったが、何か言いたいことがあるんだろうと思っていた。
そして、やつは言うべきことを言ったんだろうと思って、帰ってきた。

ベッシー・マリスの子!お前はあいつがわしに責任をなすりつけたのを知っているだろう。
たぶん、そうだったのだろう、あいつは悪い女だったからな。
とにかく、わしはやつを養った、わしはやつを養ったのだ、分かってくれ。
わしは土地に対してそうしてきたように、やつに対しても義務を果たしたのだ。

しかし、牧師は来ては去り、気安くこう言う。
「全能の神があなたを御許に召そうとしている、友よ」と。
わしは人が嘘つきだとは言わない。誰かが早まってそう言ったとしても。
しかし、やつは週に一つ説教を読んでいただけで、わしはターンビーの荒れ地を開墾したのだ。

あの荒れ地のことを覚えているか?いや、お前はまだ生まれていなかったな。
そこには妖怪が出ると言われていた。わしは何度も自分で聞いた。
ほとんどはオオヨシキリみたいなものだった。わしはいつもあの辺で音を聞いていたからな。
しかし、わしは他のものと一緒にそいつらを根こそぎにし、めちゃくちゃにして取り除いた。

そいつは管理人だった/顔を下にして、横たわっているところを発見されたのは
わしがその場所に来る前、やつは荒っぽい敵に囲まれていたのだ。
ノークスかシンブルビーのどちらかがやつを撃って完全に殺したのだ。
ノークスは巡回裁判で縛り首になった。しかし、わしのエール酒を持ってきてくれ。

荒れ地を見てみろ。牛の餌になるものは何もなかった。
ワラビとヒースしかなかったのに、今を見てみろ。
1エーカーの価値もなかったのに、今では餌が豊富にある。
80頭の羊がいて、一部には種を蒔いている。

ほんの少しだけ(*切り株が)残っているが、わしはそれを秋に根こそぎにするつもりだった。
今年はそうするつもりだったし、鋤で耕すつもりだった。
神と牧師がわしを放っておいてくれたなら―
わしと、地主様の800エーカーとわしの土地を。

神はわしを召すことが何になるか知っているのだろうか?
わしはあちらに豆、こちらにエンドウ豆といったように、植えれば生えてくるような人間ではない。
そして地主様もとても怒るだろう。ああ、ああ!
わしはマイケルマス(*9月29日、大天使ミカエルの記念日)から30年間、地主様のために働いてきたのだ。

ジョーンズを連れて行っても良かったのだ。やつには少しも分別がない。
あるいは若いロビンズを連れて行っても良かったのだ。やつは決して柵の修理をしなかった。
しかし、神はわしを、今、連れて行こうというのだ。
牛の半分が出産を控え、ターンビーの低地を耕さなければならないのに!

上流階級の連中がわしに会うと、どんなに優しく微笑むかを見てみろ。
やつらは心の中で、「何と信頼できる男だろう!」と思っているに違いない。
わしが地主様のために何をしてきたか、やつらは最初から知っているからだ。
わしは地主様に対して義務を果たし、皆に対して義務を果たしてきたのだ。

地主様はロンドンにいる。誰かが手紙を書かなければならないだろう。
わしが死んだ後、誰が土地を管理するのか、それがわしをとても混乱させる。
確かに、地主様はそれをジョーンズに任せることはないだろう。
ロビンズにも任せないだろう。やつは石を取り除くことができないからだ。

しかし、わしの後には、蒸気機関を持った誰かが来るかもしれない。
悪魔のチームが、祝福された畑を騒がせて、混乱させるのだ。
わしは死ななければならないのだから、死ぬしかない。人生は素晴らしいものらしいがな。
しかし、わしは死ななければならないのだから、死ぬしかない。それを見るに耐えないからだ。

そこで何をしているんだ、エール酒を持ってこないのか?
医者は禁酒主義者で、いつも同じことを言いやがる。
医者のためにルールを破るつもりはない。やつはハエよりも物を知らない。
わしのエール酒を持ってきてくれ、言っておくが、わしは死ななければならないなら、死ぬしかないのだ。

 

 

*原文はテニスンの出身地、リンカンシャーの方言で書かれています。

2025.5.26
https://www.poetryfoundation.org/poems/45371/northern-farmer-old-style

Marriage Morning 結婚の朝

 

Marriage Morning 結婚の朝

 

光よ、地上を低く照らす光よ、
 お前は太陽に閃光を送る。
ここに愛の、黄金の終局がある、
 私のすべての求愛は終わった。
ああ、すべての森と草原よ、
 私たちが雨を避けた林よ、
私たちが親しみ合った牧場の踏み段よ
 私たちが逢った草原よ!
光よ、谷間に差し込む光よ、
 お前は閃き、はるか彼方を照らす、
なぜならこれは愛の黄金の朝だからだ、
 そしてお前は愛の明けの明星だからだ。
閃光よ、私は行く、すぐに行く
 草原と踏み段と森を超えて、
ああ、私の目と私の心に射し込め、
 私の心と私の血の中に!
心よ、お前は決して倦まない愛に
 十分なほどに偉大だろうか?
ああ、心よ、お前は愛に十分なほどに偉大だろうか?
 棘と茨について私は聞いたことがある。
棘と茨の上に、
 草原と踏み段の上に、
世界の上に、その果てまでも
 降り注げ、百万マイルの閃光よ。

 

 

2025.5.9
https://www.poetryfoundation.org/poems/50299/marriage-morning

June Bracken and Heather   To — 六月のワラビとヒース 啓上

 

June Bracken and Heather To — 六月のワラビとヒース 啓上

 

丘の頂で、
一面の野生のヒースに囲まれ、頭上に六月の高い青空を頂いて、
輝くワラビと茶色のヒースを眺めたとき、
この本をあなたに捧げようと、私は心に決めたのです、
この本を、私の愛と一緒に、
七十七歳になるあなたに、
六月の高い青空のように澄み切った信仰と、
暗いヒースの中の、新緑のワラビのような想像力を持つ、あなたに。

 

 

2025.5.23
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/deathofoenone/junebracken.html

Doubt and Prayer 疑念と祈り

 

Doubt and Prayer 疑念と祈り

 

罪が余りにも頻繁に、あなたの鞭で咎められ、
私たちが数多くの虚しい嘆息とともに「運命の盲目」を罵るとき、
私たちは罪から悲しみを経由してあなたへと続く、
私たちの真の祖先が辿った同じ道を歩みます/
そして、私が今あり、昔あり、私の父であり、私の兄弟であり、
そして私の神である愛を知る前に
私の思考力を奪いたまうことなく、
私の屍からあなたの生きた草花を芽生えさせたまうことなかれ!
私の忍耐力を固くし、悲しみを和らげたまえ!
私が祈っている間、私の砦ではなく、牢獄である
この強化された不信の壁が、崩れ去るまで
トランペットを力強く鳴り響かせたまえ!
そして、もしそれが御心ならば、私の輝かしい日を短かからしめたまえ、
もしあなたがその日によってあなたの栄光を輝かせたまうのならば。

 

 

2025.6.5
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/deathofoenone/doubtprayer.html

The Fleet 艦隊

 

The Fleet 艦隊

 

I.
あなた、あなた、あなたがもし、イングランドとは何か、
 そのすべてのすべてを理解しないなら、
この地のすべての呪いがあなたに降りかかり、
 この古きイングランドは滅びることになるだろう、
    ネルソンが偉大にしたこの国が。

II.
彼の島、地球上で最も強大な海洋国家、
 わたしたちの美しい島、すべての海の支配者―
その完全な参政権――それに何ほどの価値があろうか―
 古より名高いその自由に―
    国が……滅びてしまったなら?

III.
その勇敢な軍は散り散りで、数が少なく、
 その無数の島々は食糧を異国から得ている―
イングランドの艦隊はそのすべてのすべてである。
 その艦隊はあなたの手の中にある、
    そして国の運命も艦隊の手の中にある。

IV.
あなた、あなた、艦隊の指揮を執るあなた、
 もし、あなたが国に屈辱をもたらし、
すべての人を飢えさせるようなことがあれば、狂った群衆の無数の足が
 あなたをその地位から蹴り落とすだろう、
    しかし、その時には、もう遅すぎる、遅すぎる。

 

 

 

2025.5.18
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/locksleyhall/fleet.html

The Northern Cobbler 北の靴修理屋

 

The Northern Cobbler 北の靴修理屋

 

I.
サリーが帰ってくるまで待ってろ、話したいことがたくさんあるだろうからな。
ああ、お前が元気そうで本当に嬉しいよ。
「太陽の真下の、放埓な国に投げ出された!」
船乗りってのは不思議なことを見たりしたりするもんだな/
「何か飲むものはないか―いかしたやつは?」アダムのワイン(*水)しかない。
この小さな丘の斜面の暑さは、赤道の暑さに比べてどうだ?

II.
「そこにある瓶は何だ?」教えてやろう。ジンだ。
だが、お前がグロッグ(*水割り)を飲みたいなら、居酒屋に行ってくれ。
いや―本当に嬉しいんだが、たとえどんなに喉が渇いていても、
その瓶のジンはお前にはやらない。理由を教えてやろう。

III.
俺がお前の姉さんと結婚したのはいつだっけ?六月の終わり頃だった。
十年前だ。良く調律されたバイオリンみたいにうまくやっていた/
俺は古いブーツや靴の底の張替えが誰よりも上手かった、
サースビー・トーンからハームズビー、ハッタービー・ホールの間の誰よりもだ。
花盛りのミツバチみたいに忙しく、心は最高に幸せだった。
そして、赤ん坊が生まれ、俺は酒を飲むようになった。

IV.
否定はしないよ、うん。今は少し恥ずかしいけどね。
「北斗七星」ではいい歌を歌えた。いい歌を歌えたんだ「北斗七星」では/
霜の夜に滑って尻を痛めたこともあったけどな、
完全に酔っぱらっちまって、仲間と一緒に頭から肥溜めに落ちたこともあった/
仕立屋と喧嘩したこともある―半人前以下の野郎だったよ、うん―
奴が猫みたいに俺の顔をビリビリに引っ掻いたんで、彼女は頭にきた。
サリーは口うるさく俺を叱った「脳みそを酒に浸して、
飲んだくれて、びしょびしょになって、タバコを吸って、道端でぶらぶらして、
地主様に会っても帽子も取らない/」
自分の鼻を斜めに見たら、燃えてるみたいに真っ赤だった/
いつも酒浸りだったし、いつも王様みたいに飲んでいたもんだから、
客は糸の切れた凧みたいにいなくなってしまった。

V.
サリーは生活のために他人の洗濯をした。
ああ、でも彼女は俺を信じていたせいで、俺によけいに酒を飲ませることになった。
サリーが背中を向けている隙に、俺は彼女が隠してた古い長靴下を見つけたんだ、
俺は彼女が稼いだ金を掻っ攫った、そしてそれを酒に使っちまったんだ、やっちまったんだ。

VI.
ある晩、俺は市場から逃げ出した雄牛みたいに帰ってきた。
彼女は泣きながら、髪を掻きむしりながら、俺を待っていた。
俺は揺りかごにつまづいて転んだ、そして腹を立てて
家中の家具をバラバラにする、と喚いた、そしてサリーを蹴った。
テーブルと椅子をめちゃくちゃにした。彼女と赤ん坊は泣き叫んだ。
死にかけの野獣みたいに、俺は訳が分からなくなっていたんだ。

VII.
朝起きると、サリーがびっこを引いていた。
俺が蹴ったせいだ。とても恥ずかしかった。
サリーは腑抜けたように、古びた寝間着を引きずっていた。
赤ん坊の顔は汚れていて、家中がひっくり返っていた。

VIII.
俺はサリーが可愛くて、きれいで、素敵だった頃を思い出した。
柱みたいにまっすぐで、頭からつま先まで花みたいに真新しかった。
サースビー・トーンで初めて彼女にキスした時のことを思い出した。
日曜の朝にヒバリが最高の歌を歌っていた。
姿は見えなかったが、高く舞い上がっていく声が聞こえた。
そしてヒバリは太陽に近づいて、火の粉みたいに輝いた。
「見える?」と彼女は聞いた。「私には見えるわ」と。でも
俺には彼女の可愛い青い目に映る太陽の微笑みしか見えなかった。
俺が「キスさせてくれ」と言うと、サリーは「だめ」と言った。
でも俺はキスした、そして、もう一度キスをした。サリーは「やめて!」と言った。

IX.
日曜礼拝で、彼女ははじめ変な顔をしていた。
でもその後、一緒に賛美歌を歌った。木の枝にとまった鳥みたいに。
マギンズは地獄の炎と神の愛について説教をした。
そして、帰り際にサリーはキスしてくれた。

X.
キスからキックへの転落は、
まるでサタンが天国から地獄に落ちたようなもんだ―地獄に酒はないだろうが/
ドアから狼を追い払うみたいに、俺がサリーを蹴ったのは、酒のせいだ。
俺は前と変わらず、彼女を愛してたんだから。

XI.
大きな木偶の坊みたいに、俺はベッドで泣きじゃくった―
「二度としない」と言うと、サリーは顔を上げて言った、
「信じない。あなたも他の男たちと同じよ。
また酒の匂いを嗅ぎまわって、同じことをするわ。
酒はあなたの敵よ。私はあなたをよく知ってる、
それを見て匂いを嗅いだら、地獄の底までついていくでしょうね」

XII.
「いや、もう酒の匂いを嗅ぎまわらない」と俺は言った。
「そうかしら?」と彼女は言った。俺は心の中で「たぶん」と思った。
「いや」と言って、俺は弾丸のように走り出して、居酒屋に行った。
そして、そこにあるやつを持って帰ってきた。大きな黒いジンの瓶を。

XIII.
「気絶しそう」とサリーは言った。そして泣き出した。
だが、俺はそれを彼女に渡して「サリー」と言った。
「主のみ名とみ恵みの力によって、それをそこに立ててくれ。
そこに立ててくれ、俺が敵の顔をまっすぐに見られるように。
それを窓際に立てて、俺に見せてくれ。
水みたいにしか見えなくても、それは悪魔そのものだ」

XIV.
気分が落ち込んで、仕事も何もできなかった。
不快で、イライラして、手が震えて、錐で手を突いてしまった。
でも彼女が俺を慰め、俺の膝の上に座ってくれて、なだめすかして、優しくしてくれたんで、
俺はやっと、もう一度自由になれたような気がした。

XV.
サリーはそれを周りに言った、それで道行くやつらがみんな立ち止まって、物珍しそうに覗き込んだ。
まるでそれがジンのクォート瓶じゃなくて、魔法をかけられた何かみたいだった/
水だと言うやつもいた―俺が妻に嘘をついていると。
命と引き換えにしても、ジンを手離さなかった俺だからな。
鍛冶屋は腕をまくって、その太さを見せ、
「触ってみろ!水なんか飲んでいたらこうはならない!」と言った。
医者は日曜日、ろうそくに火を灯す頃に、訪ねてきて、
「こういうやり方は良くない」と言った「少しずつ、少しずつやめなさい。」
牧師は「あなたは単なるメソジストに過ぎない」と言って、帽子を置いた。
そして、ジンの瓶を指して「しかし、あれについてはあなたを尊敬する」と言った/
地主様ご本人もお屋敷から歩いてきて、
俺の手を叩いて「尊敬する」と言った。
そして、風のように速く広く客足が戻ってきた。
そして、この辺の底を張り替えるブーツの半分を俺のところに持って来た。

XVI.
それはそこにある。そして、俺が死ぬまでそこにあるだろう。
俺はそれを、また違った意味で愛するようになった。
それを誇りに思っている、うん、俺はそれを綺麗に磨いてピカピカにしている、
それを愛して、拭いて、埃を払って、光の中に置いている。

XVII.
パイント瓶でもよかったんじゃないかって?確かにな/
でも、俺はもっと大きな足かせと戦いたかったんだ。そして戦い抜いた。
もし味見したならば、さぞかし美味いことだろう。
だが、だめだ。絶対に飲まない。本当に自分を恥ずかしく感じるだろうからな。

XVIII.
一度、女房に言った「俺が死んだら、
瓶を粉々に砕いてくれ。あいつには悪魔が宿っている」と。
だが、その後、考えを変えた。もしサリーが後に残されるのなら、
それを俺と一緒に埋めさせて、神の御前に連れていくことにする。

XIX.
こっちに来い―通りを歩いている女がいる。
知ってるだろ―とても可愛くて、立派で、きれいで、素敵な彼女を?
服を見てみろ。ほとんどまっさらな新品だ。
トミーの顔は、朝露に洗われたリンゴみたいにつやつやしてる。

XX.
サリーとトミーだ。晩飯を一緒に食おう。
ベーコンとジャガイモ、そしてベスリングのプリンとアダムのワインだ。
でもグロッグを飲みたいなら、居酒屋に行くんだな。
やつの血は一滴も流させない。たとえサリーの身内のためだったとしてもな。

 

 

2025.5.24
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/ballads/northerncobbler.html