To- 啓上

 

To- 啓上

 

I.
聡明な友よ、君の愉快な軽蔑は
 鋭い笑いの刃によって、人間の信条の
  もつれた結び目を真っ二つに切り離す、
 心を縛り、締め上げて血を流させる
  凶器の縄を切り離すのだ、
光に縁どられた朝のまぶたでさえ
  君ほどに鋭い眼差しを宿してはいない/
  もし私に予言の力があるなら
 君が虚しく人生を終えることは決してないだろう。

II.
詭弁家は卑屈に身を屈め/
 偽りは手を尽くして隠した素顔をさらけ出す/
 君の巧みな機知という、鋭い矢音の矢がある限り
美しい顔をした「真実」は、もはやうなだれることはない。
殉教者を焼く炎も、鋭い剣も
 あの古い嘘を葬り去ることはできなかった/
 しかし偽りは、君の狡猾な言葉に幾重にも射抜かれて
より穏やかな死を迎えるだろう。

III.
松葉杖にすがり、青ざめ、疲弊して、
 窮地に陥った弱々しい真実は、
 君の王者のような知性に養われ、
  そして、勇敢な競技者になって
稲妻のような速さでのたうつ敵の手足を
 指先ひとつで鎮めてしまうようになるだろう/
かつて薄暗いペヌエルの地で
 困惑した天の星座たちが立ち止まって見守る中、
ヤボクの渡しにおいて、彷徨うイスラエルと
夜明けまで一晩中組み打ちをした、あの不思議な天使のように。

 

 

2025.12.23
*ジョセフ・ウィリアムズ・ブレイクスリー(1808-1885)への手紙です。彼はケンブリッジ大学で使徒団に属し、後に聖職についてリンカーン大聖堂の主席司祭になりました。
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/to.html

‘My life is full of weary days’ 私は日々に倦んでいる

 

‘My life is full of weary days’ 私は日々に倦んでいる

 

I.
私は日々に倦んでいる、
 だが、良きものたちが私を避けてきたわけでも、
別の道に逸れてきたわけでもない。
 私は、あなたの穏やかな苦言も、
黄金のような惜しみない称賛も、欠かさず受けてきた。

さあ、握手をしよう、私が入る
 この深い墓の縁の上で。
もう一度、握手しよう。私はそれほど
 深く―遠くには行かない、そして
 あなたの声を聞き分けて、下から答えるだろう。

II.
私を包む暗闇の中で
 四つ足のモグラが土を掻くとき、
そこに暗いイトスギなど植えないでくれ、
 服喪の黒布など帽子に巻かないでくれ、
ただ、なみなみと注がれたブドウ酒で私に乾杯してくれ。

そして、露に濡れた野原や森が
 灰色の雨の下で緑を増し、
ごつごつした樹皮が芽を吹き始め、
 五月の新緑の湿った林に、
 突如としてカケスのキーキー声が響き渡るとき、

その時は、賢明な自然のなすがままにしよう、
 そして私の骸の上に、ドクムギを茂らせよう/
ただ、風が静かな日にだけやってきて、
 私の墓石の上で低く囁いてくれ、
 スイカズラが咲いていると。

 

 

2025.12.22
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/wearydays.html

The Deserted House 廃屋

 

The Deserted House 廃屋

 

I.
命と想いは手に手を取って
 扉と窓を大きく開け放したまま、
 共に去ってしまった/
なんと不注意な住人たちよ!

II.
 家の中は夜のように暗く
 窓に灯る明かりはない/
 かつてはあんなにも頻繁だった
 ドアの蝶番の呟きも聞こえない。

III.
扉を閉ざせ、鎧戸を閉めろ、
 さもなくば、窓越しに見てしまうだろう、
 あの暗い廃屋の
剥き出しの姿と、虚ろさを。

IV.
さあ、立ち去ろう/ここにはもう歓喜も
 浮かれ騒ぎの声もありはしない。
この家は土で築かれたもの、
 ゆえに、また土に還っていくのだ。

V.
さあ、立ち去ろう。命と想いは
 もはやここに住んではいない、
  栄光の都―
遥か遠くの、偉大なる都に―朽ちることのない
 館を買ったのだ。
ああ、願わくば、我らと共に留まってほしかったものを!

 

 

2025.12.22
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/desertedhouse.html

To the Queen March, 1851. 女王陛下 1851年3月

 

To the Queen March, 1851. 女王陛下 1851年3月

 

畏れ多くも、親愛なる女王陛下—陛下は地上の
 いかなる武力も、
知力も、門地も、
 古の戦士であった王たちに与え得なかったほどに
気高い務めを果たし賜うております。

ヴィクトリア女王陛下—陛下はみ恵み深くも
 一度として卑俗な言葉を
 吐いたことがない先任者の緑輝く桂冠を
功なき私に授け賜りました/

もし陛下の偉大さと、帝国の重き
 責任の軛が、陛下に古の詩の価値の
 僅かなりともを現代の詩に
求め賜う時間を許すならば/

その時—甘美な調べが目覚め、
 そして三月の荒天の下でウタツグミが鳴き交わし、
 陛下の宮殿の壁の周りでアーモンドの花が
日差しを浴びて揺れているその時—

陛下がこのささやかな詩集を取り出し賜わんことを/
 たとえその欠点が、虚ろな寝室の埃のように
 渦高かろうとも、私は陛下の
ご厚情を信じ申し上げる者であるがゆえに。御代の長からんことを、

そして陛下と同じ気高い血を引く方々が、
 世の終わりまで、我らを治め賜わんことを!
 我らの子供たちのその子供たちがいつか
「女王陛下は民に末永い幸福をもたらされた。」と語らんことを。

「その宮廷は清廉であり/その生涯は穏やかであった/
 神は陛下に平和を授け賜い/その国土は安らぎに満ちていた/
 母であり、妻であり、そして女王であらせられる陛下に
数知れぬ敬愛の念が集まっていた/

「そして、その議会に集った
 政治家たちは、
 好機を捉える術を心得ており、
自由の境界をさらに広げていった。

「威厳ある法令を作ることによって、彼らはそれを行なったのである。
 それこそが、臣民の意思に広範な基盤を持ち、
 そして侵されざる海に守られた、
女王陛下の玉座を揺るぎなきものにしたのである。」と。

 

 

*テニスンが桂冠詩人になった後の最初の作品です。
2025.12.18
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/misc/tothequeen.html

On a Mourner 哀悼する者へ

 

On a Mourner 哀悼する者へ

 

I.
自然は、できる限りにおいて、
 神を模倣し、その顔を空の下の
あらゆる土地に向け、
 出会うものを何一つ卑しめることなく、
 あらゆる場所において生き、愛し/

II.
素朴な生垣を満たし、
 紫のライラックを開花させ、
風が流れる丘から一歩踏み出して、
 シギが鳴く湿地を緑にし、
 苔と絡み合った沼の葦で覆い/

III.
そして、あなたの心臓に指を置いて
 言う「より速く鼓動せよ、
時は快い、そして森も道も快い、
 そしてブナもボダイジュも
 新しい葉を出し、心弾む空気を感じている。」

IV.
そして、先に遥かな聖域に行った声の
 より深いささやきは、
その病んだ心に、あなたの意志を包み込む
 一つの大きな意志に従って、あなたの命の全てを
 一つの方向に傾けるという、より強力な選択肢を教える。

V.
そして、時を分かつ夜が、
 あの寂しく折れ曲がる暗い谷に消えたとき、
希望と記憶、夫と妻が、
 二人の間に生まれた、あの美しい子供と共に
 朝の境を超えてやって来る。

VI.
そして、死すべき者の振る舞いが
 墓を覆う芝の上の闇を乱さないなら、
沈黙と、震える星々の中から信念が、
 そして家の守り神のような美徳が
 まだ誰も歩いたことのない道を通ってやって来て、

VII.
帝国の約束を与えるだろう/それは、かつて真夜中に、
 全ての艦隊がクレタ島の岩だらけの
丘のそばで休んでいたとき、
 夢の中でトロイの放浪の王子に与えられて、
 犠牲を捧げさせ、奮起させたものである。

 

 

*トロイの放浪の王子とはアイネイアスのことです。ローマ建国の祖とされています。国破れたトロイから脱出してクレタ島にいたとき、夢の中で家の守り神ペナーテスに、移住するべき土地はイタリアであることを告げられました。
2025.12.16
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/ladyshalott/mourner.html

Ode to Memory ADDRESSED TO —.  記憶へのオード —宛

 

Ode to Memory ADDRESSED TO —.
記憶へのオード —宛

 

I.
    あなた、火を盗む者よ、
   過去の泉から、
   現在を輝かせるために、ああ、急いで来てくれ、
    私のささやかな願いを訪れてくれ!
   私を強くし、私を照らしてくれ!
   闇の中で気を失いそうな私を、
   あなた、朝露に濡れた記憶の夜明けよ。

II.
  この前に来たときのように来ないでくれ、
 昼日中に昨夜のような
憂鬱を投げ入れないでくれ、そうではなく東洋の気高い
    柔らかな光を纏って来てくれ。
かつてあなたは朝霧とともに、
 露を真珠にする夜明けの風のキスを
その厳かな額に受けた乙女のように来た、
    そのとき彼女は、あなたのように、
冬の黒い大地にかすかな星の輝きのように散らばる
確かな実りの約束を与えながら、
溢れんばかりの花々と
東洋の緑の最も早い新芽という甘美な積み荷を
そのたゆたう髪に留めていた。

III.
かつてあなたは朝霧とともに来た、
  そして夕べの雲とともに、
     あなたが集めた富を私の開いた胸に降り注いだが/
それは一年の最も早い花であって、
 心の庭に根を張っているため、
    最も荒々しい風の中でも
決して萎れることのない、比類のない花々だった。
夜もあなたの死装束ではなかった。
深い眠りよりも甘美な夢の中で
あなたは幼い希望の手を引いた。
あなたの偉大な存在の光は
その衣の渦を捉えた/そして
  深くとも底なしではない
  半ば到達された未来の天蓋は、
恐れを知らない、幼くも深い心の上で瞬く
百万の星たちとともに切り裂かれた。
そこに人生の苦悩など存在しなかった/
なぜなら、希望はその魂を震わせる鋭く美しい瞳を、地上のいかなる霧も
曇らせられないことを、確かに知っていたからである/
確かに希望は限りない年月から流れ来る
堂々たる音楽に耳を傾けながら、
     天球の傍にいた、
  ああ、私を強くし、私を照らしてくれ!
  私はこの闇の中で気を失いそうだ、
  あなた、朝露に濡れた記憶の夜明けよ。

IV.
出でよ、私はあなたに命じる、立ち上がれ、
数多くの舌を、無数の瞳を持つ者よ!
あなたは私の内なる瞳へと
   蔓を翻しながらやって来はしない、
   最も神聖な記憶よ!
あなたははるか彼方に見える
紫の崖に立つ白い光の柱、
常に響き、輝いている
滝で育まれたのではない:
灰色の斜面を帯のように囲んでいる森から来い、
私の父の戸口の脇に立っている
七本のニレ、四本のポプラから来い、
そして主に、
茂ったクレソンとうねのある砂の上をさらさらと流れ、
あるいはイグサの茂る入り江の暗がりでさざ波を立て、
粗い森からの濾過された贈り物を
   あらゆる曲がり角で窮屈な土の壺に注ぎ込むことを愛する
小川から来い/
   ああ!ここにあなたの足を進めよ!
うねのある高原の
毛の厚い二重あごの
羊の鳴き声を
   一日中私の耳に響かせよ、
打ち棄てられ、露に濡れた暗い地上に
朝の最初の歌が高らかに目を覚ました時、
その時、琥珀色の朝は
低く垂れ込めた雲の下から湧き上がる。

V.
恍惚の瞳は若い精神に
 昔の初めて結婚する
  花嫁のような
 大きな持参金を贈る、
  それは勝利のうちに、
   音楽と甘美な雨
   祝祭の花の雨とともに、
 自ら統べるべき住まいへと導かれる。
あなたはよくぞ成し遂げた、偉大なる芸術家である記憶よ。
 あなたは自らの最初の試みに
  立派な金の額縁を与え/
その最初の作品を深く愛するに違いない、
そして最も甘美な日差しが降り注ぐ
 あなたの多彩な画廊の、物語を持つ壁の
 真ん中にあなたはそれを置く/
     なぜならその発見と
あなたの芸術の新しさはあなたを大いに喜ばせたからだ、
それ以来、あなたが描いた中の最も美しいもの、
あるいは最も大胆なものでさえ、あなたの才能の
初子への愛に比べれば
僅かな重みしか持たなくなった。そのスケッチが何であろうと、
芸術家のようにあなたは
その初期の主な作品を
いつも静かに見つめている:
それが藪のない尖峰の高原であろうと、
あるいは、その上を耳障りなざわめきが吹き過ぎる
海岸に高く積み重なった
砂丘の尾根であろうと、
あるいは広く人の住まない巨大な荒れた湿地で、
数多くの橋の下を掘割の水が、無限の象徴のように、
空から空へと流れてゆくのが見える
粗末な小屋であろうと/
あるいは蔓バラが絡み合った
小道に密に覆われた庭や、
黄昏の洞窟へ、
あるいは紫のラベンダーの近くに立つ
冠を戴いたユリの平らな広場へと
下って行く長い小道であろうと:
晩年になって
喧噪の嵐を、
倦怠の風を逃れてそこに隠居し、
再び若い想像力に刺激されて、
  私たちは多面的な心のあらゆる形とともに、
情熱ゆえに盲目にならなかった人々、
繊細な思考と無数の心を持つ人々と
語り合うことができるだろう。

友よ、あなたと、そしてあなたとだけ生きてゆくのは
王冠、笏、そして玉座を持っているよりも
どんなに良いことだろう!

ああ、私を強くし、私を照らしてくれ!
この闇の中で気を失いそうな私を、
あなた、朝露に濡れた記憶の夜明けよ。

 

 

2025.12.14
・”広く人の住まない荒れた巨大な湿地”はリンカンシャー州東部the Fensのことです。
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/odememory.html

| カテゴリー : テニスン | 投稿者 : 上田エリヤ

The Village Wife/ or, The Entail 村の農婦/ あるいは、限嗣相続

 

The Village Wife/ or, The Entail 村の農婦/ あるいは、限嗣相続

 

I.
女中頭がおまえさんをよこしたんだね、お嬢ちゃん、新しい地主様が昨晩いらしたんだってね。
バターと卵—そうかい—そうかい。一緒についてってあげようかね、よしよし/
バターは一番いいやつだし、卵も一番いいやつだってことは請け合うよ、
殻を割ったら黄身が半パイントも流れ出すくらいさ。

II.
少し座りなさいな、リュウキンカのワインを一杯どうだい!
私は前の地主様が好きで、娘さんたちが、まるで自分の娘みたいに好きだった、
あの頃は皆仲が良かったからね、地主様と娘さんたちと私と。
一番上のアニーさんだけは別だけどね、どうしても好きになれなかったのさ:
でも末っ子のネリーは、誰よりも可愛かったね、
よく秋に熱病で死んだ私の娘の話をしたものさ:
私は主の御心だと思ったのに、アニーさんったら排水が悪かったせいだってさ、
あの人には全然思いやりがなくて、お悔やみを言ってもらったって全然有難くもなかった。
そう!私の子供らは皆、神様の御許にいるのさ、一人だって残っちゃいない!
それで、限嗣相続権で新しい地主様がいらっしゃって、前の地主様はいなくなったんだったね。

III.
土地は限嗣相続なんだよ、お嬢ちゃん:何のことか知ってるかい?
私はその法律を知ってるよ、弁護士さんが教えてくれたからね。
「男の人がいなくなって、一家の主がいなくなったら—
女の子たちには何の権利もなくって、その次に権利がある男の人が限嗣相続権を引き継ぐ。」ってこと。

IV.
次はどんな人なんだい?なにか悪い噂でもないかい、お嬢ちゃん?—
いや、座んなさい—ゆっくりしていけばいいじゃないか—とっても寒いんだから!—もう一杯飲みなさい!
この時期にしては妙に寒いね!ひょっとしたら雪が降るのかも—
悪い噂を聞きたいわけじゃないけど、知っておきたいのさ。
それに、本ばかり読んでる人じゃないといいんだけどね。でも、この州の人じゃないんでしょ/
そういうのは前の地主様でもう沢山、ここの人たちは学問なんて嫌いなんだ。

V.
地主様は大学の奨学生で、土地には見向きもしなかった—
オート麦にもカブにもジャガイモにもさ—いつも本を手に持ってた、
もう七十近いのに、いつも一人で本を読んでたね。
しかし本って何だい?あんたも知っての通り、何の役にも立たないのさ。

VI.
女の子たちには限嗣相続権がない、それで弁護士さんが言うには、
限嗣相続には厳しい縛りがあって、木一本切ることができないんだってさ!
「木なんか呪ってやる」って私は言ってやったよ、本当に嫌いなのさ、お嬢ちゃん、
私らが土地に肥やしをやってるのに、奴らは草から肥やしを吸い取るんだから。

Vll.
地主様はいつもニコニコしていて、通りすがりの浮浪者にも恵んでやってなさった—
それも教区の最悪な連中みんなにね—ときに目に涙まで浮かべながらさ。
地主様の娘さんたちは皆、それぞれ自分の乗馬用の馬を持ってなさって、
馬丁たちと走り回って、男たちを「狩って」たわね、
いつだって派手に着飾って、新しい服を買ってた。
一方、地主様は大きなフクロウみたいに、鼻眼鏡をかけて座ってた、
嗅ぎタバコのせいで鼻がゴシゴシ洗ってもとれないくらい固くなってたね、
読書と書き物の合間に、一日に一箱も吸い上げるんもんだからさ、
それにあの人は鉄砲でキツネを追いかけたり、鳥を追いかけたりもしなかった、
ウサギの一匹も撃ったことがなくって、それは息子のチャーリーに任せてた、
自分の池で釣りをしたこともなかった、チャーリーはカワカマスを釣ってたけどね、
あの人はこの土地で生まれ育ったわけじゃないから、どうも馴染めなかったみたいだね/
でも聞くところによると、汚ならしい古い本に三十ポンド以上も出すんだってさ、
それに自分でも古い本を書いてたんだから、貧乏になることは私にゃ分かってたんだ/
あの人は—恐ろしくていくらとは言えないけど—古い傷だらけの石に金を払って、
土の中から塊を掘り出して、茶色の壺と骨を見つけて、
使えない古いお金を女王様のちゃんとした金貨で買って、
見るのも恥ずかしい、小さな素っ裸の像を買って/
でも請求書なんか一度も見たことがなくって、何一つ気にしなかったのさ、
本以外は何も知らなかった、しかし本なんて、あんたも知っての通り、何の役にも立たないのさ。

VIII.
でも前の地主様の奥様は、生きている間は皆をきちんとさせてたね、
生きている間は、娘さんたちがここに来たことは一回もなかった/
でも奥様がなくなった後は、私らとお子さんらと使用人で仲良くしてた、
皆うちに出入りして、よくお茶を飲んだものさ。
しっかし!娘さんたちが奥様のやり方を、奥様連が娘さんたちのやり方を
話すのを聞いてどれだけ私が笑ったことかね—そのうち話してあげようね。
アニーさんだけは、母親そっくりでとっても気取っていて—
奥様とこの大事な娘さんだけは—この家の敷居をまたいだことはなかったね。

IX.
地主様は微笑んで、微笑んでいたけれど、とうとう怯え出した、
そして息子を呼んだ、弁護士さんから立て続けに手紙が来たもんだからさ/
でも地主様は息子を怖がってたから、ネズミのようにおとなしく言ったのさ、
「すまないが、君には限嗣相続権を放棄してもらわなければならない、さもなければ女の子たちが救貧院に行くことになる、
私には大きな借金があることが分かった、君に少し助けて欲しい、
君が限嗣相続権を一部放棄してくれるなら、私はまだ助かるかもしれない。」

X.
でもチャーリーは耳を後ろに倒して、断固「嫌だ」って言ったそうだよ。
限嗣相続で土地は僕のものになったんだ、手放すなんてまっぴらご免だ!
ねえ!父さん」ってあいつは言った、「なぜ本を売らないんだい?
父さんの本の中には、その重さの金の値段で売れかもしれないものがあるって聞いたよ。」

XI.
地主様は本を山のように、山のように持ってなさったね、私はこの目で見たんだ、
でも娘さんたちはその真ん中のページを破り取っては焚きつけにしてた/
だからあの大きな古い本のほとんどは、売ろうとしても少しも値がつかなかった、
それで地主様はもう一度チャーリーに、限嗣相続権を放棄するよう頼んだのさ。

XII.
チャーリーみたいな奴は二人といないだろうね—あいつはこの辺ではとんでもない暴れん坊でね、
地獄の底をどんなに歯の細かい櫛で浚ったって見つかりゃしないよ—
高いワインを飲んで、百姓のエールを飲んで酔っ払って、
娘たちにも他のものにも狂っていて—そして限嗣相続権を放棄しようとはしなかった。

XIII.
小川伝いに来たんだね/そこにイバラが生えてただろ、
五月に、今年ほど真っ白に咲いているのは見たことがないね—
あの辺りでチャーリーが跳んだんだよ—このまえ、ちょっと怖かったよ、
暗い中に白いものが見えてさ、チャーリーの幽霊かと思っちまった。
「ビリー、跳べ!」ってあいつは言ったのさ—小川の土手はとても高いのにね、
馬は荒くれビリーって呼ばれてたのさ、毛一本の乱れもなかったのにね/
でもビリーはチャーリーの上に後ろ向きに落っこちて、チャーリーは首の骨を折っちまった、
だから限嗣相続はお終い、あいつはあの小川で限嗣相続権を失くしちまったのさ。

XIV.
こうしてあの人の限嗣相続権は無くなって、本はなくなって、息子は死んじまった
地主様は微笑んで、微笑んでいたけれど、頭を上げようとはしなかった:
いつだって優しい人だった地主様!あの人は微笑んでいた、友達がいなかったからね、
そして親子が一緒のお墓に入って、みんなお終いになった。

XV.
神様に召されてもいないし、お金もないくせに、プライドだけは高い牧師は、
間違いない確かな来世の幸せを読み上げるさ/
でも、どれだけ祈っても、祈っても、借金を踏み倒して死んだ人たちを、
神様がそう簡単に天国へ入れて下さるとは、私には思えないね。
でも、森の中で哀れな年寄りの地主様の上に土がバラバラッと落ちたときには、
私も娘さんたちと一緒に泣いたよ、あの娘たちも決して幸せにはならないだろうからね。

XVI.
のっぽのモリーは若い将校と駆け落ちして、
その後の消息は誰も聞いてないんだから、どうせ悪の道に走ったのさ!
ルーシーは片足が悪くて、恋人なんてできたことがなかった—
変てこで不格好なルーシーさん!私たちは「びっこちゃん」って呼んでたね!
ヘティは足は悪くなかったけど、頭が弱かった、
ジニーは熱病で頭がその卵みたいにつるつるになっちまった、
ネリーはゆりかごの頃から牛みたいに口がうるさくって、
あの娘は引っ越さなきゃね、お嬢ちゃん、でなきゃどうしてもお相手は見つかりっこないさ!
そして私の仲間の前で、私の目の前で私を
「身の程知らずの無知な村の農婦」って呼んだアニーさんも同じだね、
一番年上の、今や随分年取ったアニーさんのことさ、
あの娘ついてはもっといろいろ知ってるけど、それはとっても言えるようなことじゃない!

XVII.
だから、年取ったアニーさんが、自分たちがいなくなったら
私がすぐに悪口を言うだろうなんて言ったのには、いい気はしなかったね、
いやいや、しっかし!あの人たちがいなくなった時、どれだけ私が泣いたもんかね、そして私たちのネリーは私に手を差し伸べてくれたんだ、
土地に縁のある地主様と娘さんたちのためなら、私は何でもして差し上げたかったよ/
本なんて、言った通り、何の役にも立たないのさ!
でも私は二十年以上もバターと卵を届けてお役に立ったんだ。

XVIII.
いつも言った通りにお金を払って下さってたから、私はいつもあのお屋敷と取引してたのさ、
あの人たちはバターって何か、卵って何かをよく知ってなさったね/
出鱈目な生活をしていたけど、そう簡単に満足する人たちじゃあなかった、
私が鶏たちにトウモロコシをやって、ご覧の通り大きな卵を産むようになるまではね/
うちのバターにはラードを入れてないよ、ウィリスの農場ではそうするけどね、
もう一口ワインを飲んでごらん—大丈夫だよ。

XIX.
それで、限嗣相続権で新しい地主様がいらっしゃって、前の地主様はいなくなったんだね/
ゴロゴロっていう馬車の音は聞こえたけど、寝間着を着た後だったのさ/
だからまだ私は新しい地主様を見てない、夕べとても遅くいらっしゃったんだからね—
こらっ!!!エンドウ豆の畑に鶏が!どうして門を閉めとかなかったんだい?

 

 

*原文はリンカンシャー訛で書かれています。
2025.12.13

https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/ballads/villagewife.html#back1

| カテゴリー : テニスン | 投稿者 : 上田エリヤ

Song(A Spirit haunts the year’s last hours)  歌(精霊が一年の最後の数時間を彷徨っている)

 

Song(A Spirit haunts the year’s last hours) 
歌(精霊が一年の最後の数時間を彷徨っている)

 

Ⅰ.
黄色く色を変えた木立に棲む
精霊が一年の最後の数時間を彷徨っている:
  それは独り言を言う/
たそがれ時の散歩道で、熱心に耳を澄ますなら、
それが働きながら、すすり泣き、ため息をつくのが
  あなたにも聞こえるだろう/
  それは、朽ちてゆく花たちの重い茎を
地面にひれ伏させているのだ:
 あまりに冷たい土の中の、その墓の上に
  大きなヒマワリは重々しく垂れ下がり/
 タチアオイは重々しく垂れ下がり、
  オニユリは重々しく垂れ下がる。

Ⅱ.
空気は湿っぽく、静まり返って、息苦しい、
まるで死の一時間前に安らいでいる
  病人の部屋のように/
腐ってゆく葉の湿った豊潤な匂いに、
そして、足元のツゲの褪せてゆく輪郭の吐息に、
  そして、その年の最後のバラに
  私の心そのものが気絶し、私の魂の全てが悲嘆にくれる。
 あまりに冷たい土の中の、その墓の上に
  大きなヒマワリは重々しく垂れ下がり/
 タチアオイは重々しく垂れ下がり、
  オニユリは重々しく垂れ下がる。

 

 

2025.12.15
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/song.html

Village Wife,The/ or, The Entail 村の農婦/ あるいは、限定相続

 

Village Wife,The/ or, The Entail 村の農婦/ あるいは、限定相続

 

I.
女中頭がおまえさんをよこしたんだね、お嬢ちゃん、新しい地主様が昨晩いらしたんだってね。
バターと卵—そうかい—そうかい。一緒についていってあげようかね、よしよし/
バターは一番いいやつだし、卵も一番いいやつだってことは請け合うよ、
殻を割ったら黄身が半パイントも流れ出すくらいさ。

II.
少し座りなさいな、リュウキンカのワインを一杯どうだい!
私は前の地主様が好きで、娘さんたちが、まるで自分の娘みたいに好きだった、
あの頃は皆仲が良かったからね、地主様と娘さんたちと私と。
一番上のアニーさんだけは別だけどね、どうしても好きになれなかったのさ:
でも末っ子のネリーは、誰よりも可愛かったね、
よく秋に熱病で死んだ私の娘の話をしたものさ:
私は主の御心だと思ったのに、アニーさんは体が弱ってたせいだとおっしゃった、
あの人には全然思いやりがなくて、お悔やみを言ってもらったって全然有難くもなかった。
そう!私の子供らは皆、神様の御許にいるのさ、一人だって残っちゃいない!
それで、限定相続権で新しい地主様がいらっしゃって、前の地主様はいなくなったんだったね。

III.
土地は限定相続なんだよ、お嬢ちゃん:何のことか知ってるかい?
私はその法律を知ってるよ、弁護士さんが教えてくれたからね。
「男の人がいなくなって、一家の主がいなくなったら—
女の子たちには何の権利もなくって、その次に権利がある男の人が限定相続権を引き継ぐ。」ってこと。

IV.
次はどんな人なんだい?なにか悪い噂でもないかい、お嬢ちゃん?—
いや、座んなさい—ゆっくりしていけばいいじゃないか—とっても寒いんだから!—もう一杯飲みなさい!
この時期にしては妙に寒いね!ひょっとしたら雪が降るのかも—
悪い噂を聞きたいわけじゃないけど、知っておきたいのさ。
それに、本ばかり読んでる人じゃないといいんだけどね。でも、この州の人じゃないんでしょ/
そういうのは前の地主様でもう沢山、ここの人たちは学問なんて嫌いなんだ。

V.
地主様は大学の奨学生で、土地には見向きもしなかった—
オート麦にもカブにもジャガイモにもさ—いつも本を手に持ってた、
もう七十近いのに、いつも一人で本を読んでたね。
それで本って何だい?あんたも知っての通り、何の役にも立たないのさ。

VI.
女の子たちには限定相続権がない、それで弁護士さんが言うには、
限定相続には厳しい縛りがあって、木一本切ることができないんだってさ!
「木なんか呪ってやる」って私は言ってやったよ、本当に嫌いなのさ、お嬢ちゃん、
私らが土地に肥やしをやってるのに、奴らは草から肥やしを吸い取るんだから。

Vll.
地主様はいつもニコニコしていて、通りすがりの浮浪者にも恵んでやってなさった—
それも教区の最悪な連中みんなにね—ときに目に涙まで浮かべながらさ。
地主様の娘さんたちは皆、それぞれ自分の乗馬用の馬を持ってなさって、
馬丁たちと走り回って、男たちを「狩って」たわね、
いつだって派手に着飾って、新しい服を買ってた。
一方、地主様は大きなフクロウみたいに、鼻眼鏡をかけて座ってた、
嗅ぎタバコのせいで鼻がゴシゴシ洗ってもとれないくらい固くなってたね、
読書と書き物の合間に、一日に一箱も吸い上げるもんだからさ、
それにあの人は鉄砲でキツネを追いかけたり、鳥を追いかけたりもしなかった、
ウサギの一匹も撃ったことがなくって、それは息子のチャーリーに任せてた、
自分の池で釣りをしたこともなかった、チャーリーはカワカマスを釣ってたけどね、
あの人はこの土地で生まれ育ったわけじゃないから、どうも馴染めなかったみたいだね/
でも聞くところによると、汚ならしい古い本に三十ポンド以上も出すんだってさ、
それに自分でも古い本を書いてたんだから、貧乏になることは私にゃ分かってたんだ/
あの人は—恐ろしくていくらとは言えないけど—古い傷だらけの石に金を払って、
土の中から塊を掘り出して、茶色の壺と骨を見つけて、
使えない古いお金を女王様のちゃんとした金貨で買って、
見るのも恥ずかしい、小さな素っ裸の像を買って/
でも請求書なんか一度も見たことがなくって、何一つ気にしなかったのさ、
本以外は何も知らなかった、そして本なんて、あんたも知っての通り、何の役にも立たないのさ。

VIII.
でも前の地主様の奥様は、生きている間は皆をきちんとさせてたね、
生きている間は、娘さんたちがここに来たことは一回もなかった/
でも奥様がなくなった後は、私らとお子さんらと使用人で仲良くしてた、
皆うちに出入りして、よくお茶を飲んだものさ。
しっかし!娘さんたちが奥様のやり方を、奥様連が娘さんたちのやり方を
話すのを聞いてどれだけ私が笑ったことかね—そのうち話してあげようね。
アニーさんだけは、母親そっくりでとっても気取っていて—
奥様とこの大事な娘さんだけは—この家の敷居をまたいだことはなかったね。

IX.
地主様は微笑んで、微笑んでいたけれど、とうとう怯え出した、
そして息子を呼んだ、弁護士さんから立て続けに手紙が来たもんだからさ/
でも地主様は息子を怖がってたから、ネズミのようにおとなしく言ったのさ、
「すまないが、君には限定相続権を放棄してもらわなければならない、さもなければ女の子たちが救貧院に行くことになる、
私には大きな借金があることが分かった、君に少し助けて欲しい、
君が限定相続権の放棄に同意してくれるなら、私はまだ助かるかもしれない。」

X.
でもチャーリーは耳を後ろに倒して、断固「嫌だ」って言ったそうだよ。
限定相続で土地は僕のものになったんだ、手放すなんてまっぴらご免だ!
ねえ!父さん」ってあいつは言った、「なぜ本を売らないんだい?
父さんの本の中には、その重さの金の値段で売れかもしれないものがあるって聞いたよ。」

XI.
地主様は本を山のように持ってたね、私が見た限りでは、
でも娘さんたちはその真ん中のページを破り取っては焚きつけにしてた/
だからあの大きな古い本のほとんどは、売ろうとしても少しも値がつかなかった、
それで地主様はもう一度チャーリーに、限定相続権を放棄するよう頼んだのさ。

XII.
チャーリーみたいな奴は二人といないだろうね—あいつはこの辺ではとんでもない暴れん坊でね、
地獄をどんなに細かい櫛で梳いてみても見つからないだろうね—
高いワインを飲んで、百姓のエールを飲んで酔っ払って、
娘たちにも他のものにも狂っていて—そして限定相続権を放棄しようとはしなかった。

XIII.
小川伝いに来たんだね/そこにイバラが生えてただろ、
五月に、今年ほど真っ白に咲いているのは見たことがないね—
あの辺りでチャーリーが跳んだんだよ—このまえ、ちょっと怖かったよ、
暗い中に白いものが見えてさ、チャーリーの幽霊かと思っちまった。
「ビリー、跳べ!」ってあいつは言ったのさ—小川の土手はとても高いのにね、
馬は荒くれビリーって呼ばれてたのさ、毛一本の乱れもなかったのにね/
でもビリーはチャーリーの上に後ろ向きに落っこちて、チャーリーは首の骨を折っちまった、
だから限定相続はお終い、あいつはあの小川で限定相続権を失くしちまったのさ。

XIV.
こうしてあの人の限定相続権は無くなって、本はなくなって、息子は死んじまった
地主様は微笑んで、微笑んでいたけれど、頭を上げようとはしなかった:
いつだって優しい人だった地主様!あの人は微笑んでいた、友達がいなかったからね、
そして親子が一緒のお墓に入って、みんなお終いになった。

XV.
神様に召されてもいないし、お金もないくせに、プライドだけは高い牧師は、
間違いない確かな来世の幸せを読み上げるさ/
でも、どれだけ祈っても、祈っても、借金を踏み倒して死んだ人たちを、
神様がそう簡単に天国へ入れて下さるとは、私には思えないね。
でも、森の中で哀れな年寄りの地主様の上に土がバラバラッと落ちたときには、
私も娘さんたちと一緒に泣いたよ、あの娘たちも決して幸せにはならないだろうからね。

XVI.
のっぽのモリーは若い将校と駆け落ちして、
それ以来誰も消息を聞いてないないから、きっと悪の道に走ったのさ!
ルーシーは片足が悪くて、恋人なんてできたことがなかった—
変てこで不格好なルーシーさん!私たちは「びっこちゃん」って呼んでたね!
ヘティは足は悪くなかったけど、頭が弱かった、
ジニーは熱病で頭がその卵みたいにつるつるになっちまった、
ネリーはゆりかごの頃から牛みたいに口がうるさくって、
あの娘は引っ越さなきゃね、お嬢ちゃん、でなきゃどうしてもお相手は見つかりっこないさ!
そして私の仲間の前で、私の目の前で私を
「身の程知らずの無知な村の農婦」って呼んだアニーさんも同じだね、
一番年上の、今や随分年取ったアニーさんのことさ、
あの娘ついてはもっといろいろ知ってるけど、それはとっても言えるようなことじゃない!

XVII.
だから、年老いたアニーさんが、自分たちがいなくなったら
すぐに私が悪口を言うだろうなんて言ったのには、いい気はしなかったね、
しっかし!あの人たちがいなくなった時、どれだけ私が泣いたもんかね、そして私たちのネリーは私に手を差し伸べてくれたんだ、
土地に縁のある地主様と娘さんたちのためなら、私は何でもして差し上げたかったよ/
本なんて、言った通り、何の役にも立たないのさ!
でも私は二十年以上もバターと卵を届けてお役に立ったんだ。

XVIII.
いつも言った通りにお金を払って下さってたから、私はいつもあのお屋敷と取引してたのさ、
あの人たちはバターって何か、卵って何かをよく知ってなさったね/
出鱈目な生活をしていたけど、そう簡単に満足する人たちじゃあなかった、
私が鶏たちにトウモロコシをやって、ご覧の通り大きな卵を産むようになるまではね/
うちのバターにはラードを入れてないよ、ウィリスの農場ではそうするけどね、
もう一口ワインを飲んでごらん—大丈夫だよ。

XIX.
それで、限定相続権で新しい地主様がいらっしゃって、前の地主様はいなくなったんだね/
ゴロゴロっていう馬車の音は聞こえたけど、寝間着を着た後だったのさ/
だから私はまだ新しい地主様を見てない、夕べとても遅くいらっしゃったんだからね—
こらっ!!!エンドウ豆の畑に鶏が!どうして門を閉めとかなかったんだい?

 

 

2025.12.13
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/ballads/villagewife.html#back1

| カテゴリー : テニスン | 投稿者 : 上田エリヤ

Ode to Memory ADDRESSED TO ――. 記憶へのオード ――宛

 

Ode to Memory
ADDRESSED TO ――.

記憶へのオード
――宛

 

I.
    あなた、火を盗む者よ、
   過去の泉から、
   現在を輝かせるために、ああ、急いで来てくれ、
    私のささやかな願いを訪れてくれ!
   私を強くし、私を照らしてくれ!
   闇の中で気を失いそうな私を、
   あなた、朝露に濡れた記憶の夜明けよ。

II.
  この前に来たときのように来ないでくれ、
 昼日中に昨夜のような
憂鬱を投げ入れないでくれ、そうではなく東洋の気高い
    柔らかな光を纏って来てくれ。
かつてあなたは朝霧と共に、
 露を真珠にする夜明けの風のキスを
その厳かな額に受けた乙女のように来た、
    そのとき彼女は、あなたのように、
冬の黒い大地にかすかな星の輝きのよう散らばる
確かな実りの約束を与えながら、
溢れんばかりの花々と
東洋の緑の最も早い新芽という甘美な荷物を
そのたゆたう髪に留めていた。

III.
かつてあなたは朝霧とともに来た、
  そして夕べの雲とともに、
あなたが集めた富を私の開いた胸に降り注いだが/
それは一年の最も早い花であって、
     心の庭に根を張っているため、
最も荒々しい風の中でも
 決して萎れることのない、比類のない花々だった。
    夜もあなたの死装束ではなかった。
深い眠りよりも甘美な夢の中で
あなたは幼い希望の手を引いた。
あなたの偉大な存在の光は
その衣の渦を捉えた/そして
  深くとも底なしではない
  半ば到達された未来の天蓋は、
恐れを知らない、幼くとも深い心の上で瞬く
百万の星たちとともに切り開かれた。
そこに人生の苦悩など存在しなかった/
なぜなら、希望はその魂を震わせる鋭く美しい瞳を、地上のいかなる霧も
曇らせられないことを、確かに知っていたからである/
確かに希望は限りない年月から流れ来る
堂々たる音楽に耳を傾けながら、
     天球の傍にいた、
  ああ、私を強くし、私を照らしてくれ!
  私はこの闇の中で気を失いそうだ、
  あなた、朝露に濡れた記憶の夜明けよ。

IV.
出でよ、私はあなたに命じる、立ち上がれ、
数多くの舌を、無数の瞳を持つ者よ!
あなたは私の内なる瞳へと
   蔓を翻しながらやって来はしない、
   最も神聖な記憶よ!
あなたははるか彼方に見える
紫の崖に立つ白い光の柱、
常に響き、輝いている
滝で育まれたのではない:
灰色の斜面を帯のように囲んでいる森から来い、
私の父の戸口の脇に立っている
七本のニレ、四本のポプラから来い、
そして主に、
茂ったクレソンとうねのある砂の上をさらさらと流れ、
あるいはイグサの茂る入り江の暗がりでさざ波を立て、
粗い森からの濾過された贈り物を
   あらゆる曲がり角で窮屈な土の壺に注ぎ込むことを愛する
小川から来い/
   ああ!ここにあなたの足を進めよ!
うねのある高原の
毛の厚い二重あごの
羊の鳴き声を
   一日中私の耳に響かせよ、
打ち棄てられ、露に濡れた暗い地上に
朝の最初の歌が高らかに目を覚ました時、
その時、琥珀色の朝は
低く垂れ込めた雲の下から湧き上がる。

V.
恍惚の瞳は若い精神に
 昔の初めて結婚する
  花嫁のような
 大きな持参金を贈る、
  それは勝利のうちに、
   音楽と甘美な雨
   祝祭の花の雨とともに、
 自ら統べるべき住まいへと導かれる。
あなたはよくぞ成し遂げた、偉大なる芸術家である記憶よ。
 あなたは自らの最初の試みに
  立派な金の額縁を与え/
その最初の作品を深く愛するに違いない、
そして最も甘美な日差しが降り注ぐ
 あなたの多彩な画廊の、物語を持っている壁の
 真ん中にあなたはそれを置く/
     なぜならその発見と
あなたの芸術の新しさはあなたを大いに喜ばせたからだ、
それ以来、あなたが描いた中の最も美しいもの、
あるいは最も大胆なものでさえ、あなたの才能の
初子への愛に比べれば
僅かな重みしか持たなくなった。そのスケッチが何であろうと、
芸術家のようにあなたは
その初期の主な作品を
いつも静かに見つめている:
それが藪のない尖峰の高原であろうと、
あるいは、その上を耳障りなざわめきが吹き過ぎる
海岸に高く積み重なった
砂丘の尾根であろうと、
あるいは広く人の住まない巨大な荒れた湿地で、
数多くの橋の下を掘割の水が、無限の象徴のように、
空から空へと流れてゆくのが見える
質素な小屋であろうと/
あるいは蔓バラが絡み合った
小道に密に覆われた庭や、
黄昏の洞窟へ、
あるいは紫のラベンダーの近くに立つ
冠を戴いたユリの平らな広場へと
下って行く長い小道であろうと:
晩年になって
喧噪の嵐を、
倦怠の風を逃れてそこに隠居し、
再び若い想像力に刺激されて、
  私たちは多面的な心のあらゆる形とともに、
情熱ゆえに盲目にならなかった人々、
繊細な思考と無数の心を持つ人々と
語り合うことができるだろう。

友よ、あなたと、そしてあなたとだけ生きてゆくのは
王冠、笏、そして玉座を持っているよりも
どんなに良いことだろう!

ああ、私を強くし、私を照らしてくれ!
この闇の中で気を失いそうな私を、
あなた、朝露に濡れた記憶の夜明けよ。

 

 

2025.12.14
・火を盗む者とはプロメテウスのことです。
・広く人の住まない荒れた巨大な湿地というのはリンカンシャー東部のthe Fensを指していると思われます。
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/odememory.html

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