To ― (“I send you here a sort of allegory”) 啓上 (ここに一種の寓意を送ります)

 

To ― (“I send you here a sort of allegory”) 
啓上 (ここに一種の寓意を送ります)

 

ここにある魂の、一種の寓意を送ります。
(あなたは理解されることと思います)
それは数多くの才能に恵まれた罪深い魂、
花盛りの雑草でいっぱいの広大な庭、
大きな心と頭脳を持つ、光り輝く悪魔であって、
(あらゆる種類の形と心に見られる)美のみを、
知をその美ゆえに、あるいは善を、その美のみゆえに愛していました。
美、善、そして知は互いに互いを深く愛し合い、
人間の友であり、同じ屋根の下に住み、
涙なしには決して引き離せない三姉妹であることを彼は知らなかったのです。
そして、愛を閉め出す彼は、愛に閉め出され、
外の暗闇でうめき声をあげるでしょう。
神はこのようなことのために
ありふれた土からありふれた粘土を取って、天使の涙で練り、
人間を完全な形につくられたのではありません。

 

 

2025.6.3
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/ladyshalott/to.html

from The Princess: The Splendour Falls on Castle Walls 「王女」より:城壁に輝きは降り注ぐ

 

from The Princess: The Splendour Falls on Castle Walls
「王女」より:城壁に輝きは降り注ぐ

 

輝きは降り注ぐ、城壁と
    古い物語の雪の頂に。
  長い光が揺れながら湖を渡り、
    荒々しい滝が光の中を跳躍する。
鳴れよ、ビューグル、鳴れ、荒々しいこだまを返り来させよ、
鳴れよ、ビューグル/答えよ、こだま、消えゆく、消えゆく、消えゆく。

  ああ、聞け、おお、聞け!なんと細く澄んだ音色だろう、
    そして、より細く、より澄んで、より遠くへと行く!
  ああ、そして遠い崖や岩肌から
    妖精の国の角笛が甘く、微かに聞こえてくる!
鳴れよ、そして、聞こう、紫の谷の答える声を。
鳴れよ、ビューグル/答えよ、こだま、消えゆく、消えゆく、消えゆく。

  おお、恋人よ、それらはあの豊かな空に消え、
    丘や野原や川で衰えてしまう。
  しかし、私たちのこだまは魂から魂へと鳴り響いて、
    永遠に、永遠に成長し続ける。
鳴れよ、ビューグル、鳴れ、荒々しいこだまを返り来させよ、
そして答えよ、こだま、答えよ、消えゆく、消えゆく、消えゆく。

 

 

2025.6.10
https://www.poetryfoundation.org/poems/45385/the-princess-the-splendour-falls-on-castle-walls

You ask me, why, tho’ ill at ease あなたは問う、なぜ、安ぎのない

 

You ask me, why, tho’ ill at ease あなたは問う、なぜ、安ぎのない

 

あなたは私に問う、なぜ、安らぎのない、
 この土地に住んでいるのか、と
 その魂は霧の中で弱り、
紫の海に恋い焦がれているのに。

ここはしらふの自由に選ばれた、
 自由人が耕す国、
 敵や味方に囲まれながら、
人が思うことを口にできる国/

安定した政治の国、
 正義と古き名声の国、
 自由が先例から先例へと、
ゆっくりと広がりゆく国/

党派的謀略は稀だが、
 何らかの散漫な思想の力が
 徐々に遺憾なく鍛え上げられて、
働き、広がってゆく時間と空間がある国。

もし、団結した連合体が
 世論を迫害し、
 何らかの思想が罪とされる時代を招き、
個人の自由を沈黙させるならば、

たとえ政権が諸国の間で、
 ブリテンの名を三倍に高めようとも―
 たとえ国のあらゆる水路が、
黄金の砂に満たされ、塞がれていようとも、

そのときは、私を港から運び去ってくれ、
 荒ぶる風よ!私は暖かい空を目指し、
 死ぬ前に見よう、
南のヤシの木と神殿を。

 

 

2025.5.23
https://www.poetryfoundation.org/poems/45393/you-ask-me-why-tho-ill-at-ease

from The Princess: Home They Brought Her Warrior Dead 「王女」より:戦士の遺体が妻の家に戻ってきた

 

from The Princess: Home They Brought Her Warrior Dead
「王女」より:戦士の遺体が妻の家に戻ってきた

 

戦士の遺体が妻の家に戻ってきた/
 妻は気絶もせず、叫び声もあげなかった/
侍女たちは皆、見守りながら
 「泣かないと、奥様は亡くなってしまわれるわ。」と言った。

それから彼女たちは彼を優しく低い声で称え、
 愛されるにふさわしい者、
最も忠実な味方であり最も高貴な敵と呼んだ/
 しかし彼女は何も言わず、動じなかった。

忍び足の侍女が自分の場所から、
 軽やかに戦士のもとに歩み寄って、
顔の覆いを取った/
 しかし彼女は動じず、泣かなかった。

九十歳の乳母が立ち上がって、
 彼の子を妻の膝に乗せた―
夏の嵐のように涙が流れ落ちた―
 「愛しい子、あなたゆえに私は生きていく。」

 

 

2025.5.21
https://allpoetry.com/Home-They-Brought-Her-Warrior-Dead

The Dying Swan 瀕死の白鳥

 

The Dying Swan 瀕死の白鳥

 

I.
その平原は草深く、人跡未踏で、何もなく、
広く、荒涼としていて、空が開けていた。
その空は至る所、
 陰鬱な灰色の屋根裏のようだった。
川は声をひそめて流れ、
そこに瀕死の白鳥が漂っていた。
  そして、大きな声で嘆いた。
 真昼だった。
物憂い風が絶えず吹き続け、
  葦の先端を捉えては過ぎ去って行った。

II.
遠くには冷たく白い空を背に
青い峰々がそびえ立ち、
その頂に白い雪を輝かせていた。
 川の上では一本の柳が泣いて、
風がため息をつくたびに波を打っていた/
上空では、ツバメが風の中を、
 我が物顔で飛び回っていた。
 そして、遠く、緑深く静かな湿地には、
 紫、緑、黄色に彩られた
入り組んだ水路が眠っていた。

III.
白鳥の野生の死の賛歌は
悲しみの中に秘められた喜びによって
この打ち捨てられた土地の魂を捉えた/
始めその歌声は低く、豊かに、澄んでいた/
そして中空を漂い、
弱々しく広がって、
嘆きの歌はいつか、
あるいは遠くへ、あるいは近くへと忍び入った
しかしやがて、その荘厳な歓喜の声は、
不思議で多彩な音楽とともに、
自由で大胆な祝歌になって流れ出した。
まるで強大な民族が
オーボエ、シンバル、金のハープで歓喜し、
その喝采の騒ぎが遠く、
都市の開かれた門を通って、
宵の明星を眺める羊飼いのところまで聞こえてくるようだった。
そして、地を這う苔や這い上る蔓草、
白い湿った柳の枝、
そよぐ葦の波のようなうねり、
こだまが響く土手の、波に浸食された入江、
そして、寂しい小川や池に群生する銀色の湿地の花々は、
渦を巻く歌の洪水の下に飲み込まれた。

 

 

2025.6.4
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/dyingswan.html
テニスン小曲集 幡谷正雄訳 大正14年
https://dl.ndl.go.jp/pid/977732/1/57

The Merman 人魚王

 

The Merman 人魚王

 

I.
   何者だろう、
   海の底で、
   金の冠をかぶって、
   玉座の上に
   ただ一人座って、
   ただ一人歌っている、
   大胆な人魚王とは。

Ⅱ.
大胆な人魚王とは私のこと、
私は日がな座って歌っている/
私は海の広間を力強い歌声でいっぱいにする/
しかし夜には、外に彷徨い出て、
岩の中や外で、人魚たちと戯れる、
彼女らの髪を白い海の花で飾り/
そして彼女らの流れる髪をつかんで引き止め、
海の底で何度もキスし、
そして彼女らが私にキスするまで何度もキスする
 笑いながら、笑いながら/
そして私たちは彷徨う、遠くへ、遠くへと
まっすぐに高く伸びている淡い緑の海の森へと、
 お互いを愉快に追いかけながら。

Ⅲ.
月も星もないだろう/
しかし波が私たちの頭上で音楽を奏でるだろう—
魔法の夜の低い雷鳴と稲光—
 月も星もない。
私たちは夢のような小さな谷で大声で呼びかけ、
お互いを呼んで、雄叫びを上げ、泣き叫ぶだろう
一晩中、愉快に、愉快に。
彼女らは私に星のように輝く砂と貝殻を投げつけ、
笑ったり、手を叩いたりする、
 一晩中、愉快に、愉快に。
しかし、私から彼女らに投げ返すのは
トルコ石、瑪瑙、アルマンディン。
そして、物陰から彼女らに飛びかかり、
海の底で何度もキスし、
そして彼女らが私にキスするまで何度もキスする
 笑いながら、笑いながら。
ああ!虚ろな深い緑の大海の底で
なんと幸せに暮らしていることだろう!
海の底の苔のベッドは柔らかい/
私たちは愉快に、愉快に暮らすだろう。

 

 

2025.5.13
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/merman.html

The Mermaid 人魚姫

 

The Mermaid 人魚姫

 

I.
   何者だろう
   海の底の
   玉座の上で
   一人歌いながら
   金色の巻き毛を
   真珠の櫛で
   梳いている
   美しい人魚姫とは?

Ⅱ.
 美しい人魚姫とは私のこと/
私は日がな、一人で歌っている/
真珠の櫛で、私は髪を梳く/
そして梳きながら、歌いながら、言うのです、
「私を愛しているのは誰?愛していないのは誰?」
私は髪を梳く、巻き毛の房が垂れ下がるまで、
  低く、低く、下へ、下へと、
私の星のような海の蕾の王冠の
  下へ、低く、周りへと、
そして私は広間のまん中の
  玉座の上で
 中から鋭い音を立てながら
  ひとり金を噴き出す
泉のように見えるでしょう/
そうしていると海の深みの真ん中で
とぐろを巻いて眠っていた
大きな海蛇がゆっくりと
私の広間を七重に巻いて、
そして大きく穏やかな目で、
門の中を覗き込み、愛を求めるのです。
そして海の底の人魚男たちは
不死なのですが、私への愛ゆえに
死んでしまいそうになります。

Ⅲ.
でも、夜に私は彷徨い出ます、遠く、遠くへと、
 流れるような私の巻き毛を、左右に低く投げ出して、
軽やかに玉座から跳び出して、
 岩の中や外にいる人魚男たちと遊びます/
海の中で一番高い、銀色の頂きを持つ
 深紅の貝殻の中の、広い海の高原で。
私たちはかけっこをしたり、かくれんぼしたりします。
でも誰かが近くに寄ってきたら、私は叫び、金切り声を上げます、
そして波のように急な坂を駆け下りて、
 谷に突き出たダイヤモンドの先端から飛び降ります。
海の底の大胆で陽気な人魚男の誰にだって、
私はキスさせたりしません/
海の底の紫の黄昏の中で、
彼らは私に訴え、求愛し、媚びるのです/
でも彼らの王様が私を勝ち取って、
求愛し、海の底の
木の枝のような模様の碧玉の宮殿で結婚します。
そのとき海の底の色のない苔の中の
乾いたまだらなものたちが、私の銀色の脚に静かに巻きついて、
私への愛ゆえに、みな上を見上げるでしょう。
そして私が高いところで声高く歌えば
すべての鰭のあるもの、角のあるもの、軟らかいものたちが
海の洞窟から身を乗り出し、
私への愛ゆえに、みな下を見下ろすでしょう。

 

 

2025.5.10
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/mermaid.html

Love and Death 愛と死

 

Love and Death 愛と死

 

強力な月が光を集めているとき、
「愛」は楽園のジャコウソウの茂る地に足を踏み入れ、
その周りに、光り輝く目を巡らせていた/
カシアの木の下を回ったとき、
イチイの木の下を一人で歩きながら、
独り言を言っている「死」に、初めてばったり出くわした。
「立ち去れ」と「死」は言った「この道は私のものだ。」
「愛」は泣き、そして飛び立つために光沢のある翼を広げた/
しかし、去り際に言った「この時はあなたのものだ。
あなたは人生の影だ。
そして木が太陽の下に立ち、その下に影を作るように、
生命は偉大な永遠の光の中で
優れて死の影を作り出す。
木が倒れたとき、影は消えてしまう、
しかし、永遠にすべてを支配するのは私である。」

 

 

2025.5.16
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/lovedeath.html

The Blackbird クロウタドリ

 

The Blackbird クロウタドリ

 

ねえ、クロウタドリ!何か良い歌を歌ってくれないか:
 近所の人たちは皆、お前を撃とうとしている、
 しかし、私はお前が歌い、食べ、住むための、
実り豊かで平穏な場所を守ってやっている。

垣根仕立ての果樹も、立木もみな、
 お前のものだ/広い芝生と大庭園も。
 庭の壁にもたれた、網がかかっていない
暗く熟した黒いハート型のサクランボも、すべてお前のものだ。

そうやって春の間中、私はずっとお前を庇ってやったのに、
 お前の楽しみは、じっと座って、
 金の短剣のような嘴で
夏の早熟リンゴをつつくことだけだ。

金の嘴!寒い二月が愛した
 あの銀の舌は乾いてしまった。
 かつてお前の名を上げたあのメロディーを
豊かな暮らしが駄目に
してしまった。

そして、蒸し暑い庭園広場では今や、
 お前のフルートの音はぞんざいになって、
 少しも聞こえないか、
物売りの売り歩きの声のようにしわがれている。

警告だ!青空に
 太陽が輝いている間に歌わないのなら、
 新緑の前に、凍てつく春に捕まって、
ひもじい、ひもじいと鳴くことになるだろう。

 

 

2025.6.2
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/ladyshalott/blackbird.html

Move eastward, happy earth, and leave 東へ進め、幸せな大地よ、そして去れ

 

Move eastward, happy earth, and leave 東へ進め、幸せな大地よ、そして去れ

 

東へ進め、幸せな大地よ、そして去れ
  あのゆっくりと消えていくオレンジ色の夕焼けから。
薄れゆく夕暮れの際から、
  ああ、幸せな惑星よ、東へ行け/
お前の銀色の姉妹が
  お前の暗い肩越しに輝き、
  そして谷の草の上に昇って
露に濡れた瞳で私を見つめるまで。
ああ、私をお前とともに、滑らかに運んでくれ、
  星の明かりにどっぷりと浸してくれ、
そして、私を結婚の朝へと、
  そして再び幸せな夜へと運んでくれ。

 

 

2025.5.26
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/englishidyls/moveeastward.html