The Mermaid 人魚姫

 

The Mermaid 人魚姫

 

I.
   何者だろう
   海の底の
   玉座の上で
   一人歌いながら
   金色の巻き毛を
   真珠の櫛で
   梳いている
   美しい人魚姫とは?

Ⅱ.
 美しい人魚姫とは私のこと/
私は日がな、一人で歌っている/
真珠の櫛で、私は髪を梳く/
そして梳きながら、歌いながら、言うのです、
「私を愛しているのは誰?愛していないのは誰?」
私は髪を梳く、巻き毛の房が垂れ下がるまで、
  低く、低く、下へ、下へと、
私の星のような海の蕾の王冠の
  下へ、低く、周りへと、
そして私は広間のまん中の
  玉座の上で
 中から鋭い音を立てながら
  ひとり金を噴き出す
泉のように見えるでしょう/
そうしていると海の深みの真ん中で
とぐろを巻いて眠っていた
大きな海蛇がゆっくりと
私の広間を七重に巻いて、
そして大きく穏やかな目で、
門の中を覗き込み、愛を求めるのです。
そして海の底の人魚男たちは
不死なのですが、私への愛ゆえに
死んでしまいそうになります。

Ⅲ.
でも、夜に私は彷徨い出ます、遠く、遠くへと、
 流れるような私の巻き毛を、左右に低く投げ出して、
軽やかに玉座から跳び出して、
 岩の中や外にいる人魚男たちと遊びます/
海の中で一番高い、銀色の頂きを持つ
 深紅の貝殻の中の、広い海の高原で。
私たちはかけっこをしたり、かくれんぼしたりします。
でも誰かが近くに寄ってきたら、私は叫び、金切り声を上げます、
そして波のように急な坂を駆け下りて、
 谷に突き出たダイヤモンドの先端から飛び降ります。
海の底の大胆で陽気な人魚男の誰にだって、
私はキスさせたりしません/
海の底の紫の黄昏の中で、
彼らは私に訴え、求愛し、媚びるのです/
でも彼らの王様が私を勝ち取って、
求愛し、海の底の
木の枝のような模様の碧玉の宮殿で結婚します。
そのとき海の底の色のない苔の中の
乾いたまだらなものたちが、私の銀色の脚に静かに巻きついて、
私への愛ゆえに、みな上を見上げるでしょう。
そして私が高いところで声高く歌えば
すべての鰭のあるもの、角のあるもの、軟らかいものたちが
海の洞窟から身を乗り出し、
私への愛ゆえに、みな下を見下ろすでしょう。

 

 

2025.5.10
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/mermaid.html

Love and Death 愛と死

 

Love and Death 愛と死

 

強力な月が光を集めているとき、
「愛」は楽園のジャコウソウの茂る地に足を踏み入れ、
その周りに、光り輝く目を巡らせていた/
カシアの木の下を回ったとき、
イチイの木の下を一人で歩きながら、
独り言を言っている「死」に、初めてばったり出くわした。
「立ち去れ」と「死」は言った「この道は私のものだ。」
「愛」は泣き、そして飛び立つために光沢のある翼を広げた/
しかし、去り際に言った「この時はあなたのものだ。
あなたは人生の影だ。
そして木が太陽の下に立ち、その下に影を作るように、
生命は偉大な永遠の光の中で
優れて死の影を作り出す。
木が倒れたとき、影は消えてしまう、
しかし、永遠にすべてを支配するのは私である。」

 

 

2025.5.16
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/lovedeath.html

The Blackbird クロウタドリ

 

The Blackbird クロウタドリ

 

ねえ、クロウタドリ!何か良い歌を歌ってくれないか:
 近所の人たちは皆、お前を撃とうとしている、
 しかし、私はお前が歌い、食べ、住むための、
実り豊かで平穏な場所を守ってやっている。

垣根仕立ての果樹も、立木もみな、
 お前のものだ/広い芝生と大庭園も。
 庭の壁にもたれた、網がかかっていない
暗く熟した黒いハート型のサクランボも、すべてお前のものだ。

そうやって春の間中、私はずっとお前を庇ってやったのに、
 お前の楽しみは、じっと座って、
 金の短剣のような嘴で
夏の早熟リンゴをつつくことだけだ。

金の嘴!寒い二月が愛した
 あの銀の舌は乾いてしまった。
 かつてお前の名を上げたあのメロディーを
豊かな暮らしが駄目に
してしまった。

そして、蒸し暑い庭園広場では今や、
 お前のフルートの音はぞんざいになって、
 少しも聞こえないか、
物売りの売り歩きの声のようにしわがれている。

警告だ!青空に
 太陽が輝いている間に歌わないのなら、
 新緑の前に、凍てつく春に捕まって、
ひもじい、ひもじいと鳴くことになるだろう。

 

 

2025.6.2
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/ladyshalott/blackbird.html

Move eastward, happy earth, and leave 東へ進め、幸せな大地よ、そして去れ

 

Move eastward, happy earth, and leave 東へ進め、幸せな大地よ、そして去れ

 

東へ進め、幸せな大地よ、そして去れ
  あのゆっくりと消えていくオレンジ色の夕焼けから。
薄れゆく夕暮れの際から、
  ああ、幸せな惑星よ、東へ行け/
お前の銀色の姉妹が
  お前の暗い肩越しに輝き、
  そして谷の草の上に昇って
露に濡れた瞳で私を見つめるまで。
ああ、私をお前とともに、滑らかに運んでくれ、
  星の明かりにどっぷりと浸してくれ、
そして、私を結婚の朝へと、
  そして再び幸せな夜へと運んでくれ。

 

 

2025.5.26
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/englishidyls/moveeastward.html

The Oak 樫

 

The Oak 樫

 

あなたの人生を生きよ、
 老いも若きも、
あの樫の木のように、
春には輝き、
 生きた黄金になり/

夏には豊かな
 そして/
秋にはより穏やかな
色合いに変って
 再び黄金になる。

すべての葉が
 ついに落ちてしまっても、
見よ、彼は立っている、
剥き出しの
 幹と枝の力で。

 

 

 

2025.5.13
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/demeter/oak.html
テニスン詩集 (泰西詩人叢書 ; 第18編)  井口正名 訳  大正15年
https://dl.ndl.go.jp/pid/962544/1/51

Ode Sung at the Opening of the International Exhibition 万国博覧会開会式に捧げるオード

 

Ode Sung at the Opening of the International Exhibition
万国博覧会開会式に捧げるオード

 

I.
幾千もの甘美なる声を、高らかに響かせ、
この広大なる殿堂に、地上の発明品を納め、
そして、ここ科学、芸術、そして労働が無数の豊穣の角杯を
わたしたちの足元に注いでいるところに
再び平和のうちに、諸国民が集うことを許し賜うたお方を、
目に見えない遍在の主を讃えよ。

 

II.
おお、この祝祭の黄金の時に哀悼される、
まだ見ぬ王たちの静かなる父よ、
これゆえ、この全てゆえに、わたしたちは感謝の涙を捧げます!
(*ビクトリア女王の王配アルバート公:1951年の第一回ロンドン万博を成功させ、1861年に崩御、この詩は1962年の第二回ロンドン万博のときに書かれた)

 

III.
世界が注目した計画は、あなたのものでした—
そして、見て下さい!労苦の跡が伺える
何マイルもの宮殿を/
見て下さい!モデルとデザインに富んだ
巨大な通路を/
収穫の道具と農業、
織機と車輪と機械、
暗い鉱山の奥底の秘密、
鋼鉄と黄金、そして穀物とワイン、
粗い、あるいは妖精のように繊細な織物、
日の出の兆しのある地平線、
極地の不思議、そして喜び、
西と東からの驚異、
そして半神の形と色彩!
全ての美、全ての実用、
一つの美しい惑星が生み出せる全て。
  あらゆる星の下から運び込まれ、
あらゆる大海原の上から吹き寄せられて、
そして、人生に苦痛が混ざり合うように、
  平和の業に戦争の業が、混ざり合っています。

 

IV.
    ゴールはまだずっと遠いのだろうか?
    遠い、どれほど遠いかは、言葉では言い表せない、
    今日、わたしたちはわたしたちの夢を見よう。

 

V.
おお、あなた方、考える賢者たち、統治する賢者たちよ、
成長する商業を、その最後の鎖から解き放て、
そして、全ての空の下の幸福な港へ、
美しい白い翼をもつ平和の使者を飛ばせよ、
そして、季節に黄金の時を混ざり合わせよ、
全ての人々が自分の利益を他人のそれの中に見出し、
そして、全ての人々が気高い兄弟愛のために働き、
鎖帷子の艦隊と武装した塔を打ち捨て、
そして、自然の力に従って政りごとを行い、
そして、平和の全ての果実を集め、その全ての花によって戴冠する日まで。

 

 

 

2025.5.19
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/enocharden/odeopening.html

The Higher Pantheism 高等汎神論

 

The Higher Pantheism 高等汎神論

 

太陽、月、星、海、丘、そして平原—
これらは皆、ああ魂よ、すべてを統べておられる方のお姿ではないのだろうか?

そのお姿は彼そのものではないのだろうか?たとえそれが私たちの思い通りのものでなかったとしても?
夢はそれが続く限り真実である、そして、私たちは夢の中に生きているのではないのだろうか?

地球、確かに存在する星たち、この身体と手足の重み、
これらを感じることは、あなたの彼からの分離の兆しと徴ではないのだろうか?

世界はあなたにとって暗い。あなた自身がその理由である/
彼は、「私は私である」と感じる力を持つもの以外の全てではないのだろうか?

栄光はあなたの周りに、あなたの外にある/そしてあなたは
彼を消えた微光、息を止められた輝きと暗闇にして、あなたの運命を全うする。

彼に語りかけよ、彼は聞かれている。そして霊は霊に出会うことができる—
彼は呼吸よりも近く、手足よりも近い。

神とは法則である、と賢者たちは言う/ああ魂よ、喜ぼう。
彼が法則によって雷鳴を轟かせられたなら、その雷鳴はやはり彼のお声なのだから。

法則は神である、と言う者もいる。神などいないと言うのは愚か者である/
なぜなら私たちの見る力は、水の中で真っすぐな棒が曲がって見えるようなものでしかないからである/

そして人の耳は聞くことができず、人の目は見ることができないからである/
しかし、もし私たちが見て聞くことができるとすれば、そのお姿が—彼なのではないだろうか?

 

 

2025.5.17
https://www.poetryfoundation.org/poems/45323/the-higher-pantheism

Northern Farmer: Old Style 北の農夫:オールド・スタイル

 

Northern Farmer: Old Style 北の農夫:オールド・スタイル

 

ずいぶんと長い間どこに行っていたんだ?わしがここで一人ぼっちで寝ているのに。
看護婦?看護婦のことなど考えもしなかった。医者はもう来て帰ったよ。
もうエール酒は飲んではいけないと言うが、わしは馬鹿じゃない。
わしのエール酒を持ってきてくれ、わしは自分のルールを破るつもりはないんだ。

医者たちは何も知らない。やつらはいつも真実とは違うことを言うからだ。
やつらが言うことは何の役にも立たない。
わしはここでずっと、毎晩エール酒を一杯飲んでいる。
そして、市の立つ晩には必ず1クォート(*約1リットル)飲んで、もう40年になる。

牧師もまた、わしのベッドに座っていた。
「全能の神はあなたを御許に召そうとされています、友よ」とやつは言った。
そして、わしの罪を告げ、十分の一献金を納めろと言ったので、わしはそれを手渡した。
わしは土地に対してそうしてきたように、やつらに対して義務を果たしたのだ。

やつには学識があるのだろう。わしがやつに学ぶことはあまりない。
しかし、やつはベッシー・マリスの子について責めたのだ。
わしがいつも、地主様と教会と国のために投票してきたことを知っているにもかかわらずだ。
そして、最悪の時代にもわしは決して税金を滞納したことはなかった。

サリーが死ぬ前は、いつも教会に行っていたし、
わしの頭の上でやつがコガネムシのようにブンブン唸るのを聞いていた。
やつが何を言っているのか全く分からなかったが、何か言いたいことがあるんだろうと思っていた。
そして、やつは言うべきことを言ったんだろうと思って、帰ってきた。

ベッシー・マリスの子!お前はあいつがわしに責任をなすりつけたのを知っているだろう。
たぶん、そうだったのだろう、あいつは悪い女だったからな。
とにかく、わしはやつを養った、わしはやつを養ったのだ、分かってくれ。
わしは土地に対してそうしてきたように、やつに対しても義務を果たしたのだ。

しかし、牧師は来ては去り、気安くこう言う。
「全能の神があなたを御許に召そうとしている、友よ」と。
わしは人が嘘つきだとは言わない。誰かが早まってそう言ったとしても。
しかし、やつは週に一つ説教を読んでいただけで、わしはターンビーの荒れ地を開墾したのだ。

あの荒れ地のことを覚えているか?いや、お前はまだ生まれていなかったな。
そこには妖怪が出ると言われていた。わしは何度も自分で聞いた。
ほとんどはオオヨシキリみたいなものだった。わしはいつもあの辺で音を聞いていたからな。
しかし、わしは他のものと一緒にそいつらを根こそぎにし、めちゃくちゃにして取り除いた。

そいつは管理人だった/顔を下にして、横たわっているところを発見されたのは
わしがその場所に来る前、やつは荒っぽい敵に囲まれていたのだ。
ノークスかシンブルビーのどちらかがやつを撃って完全に殺したのだ。
ノークスは巡回裁判で縛り首になった。しかし、わしのエール酒を持ってきてくれ。

荒れ地を見てみろ。牛の餌になるものは何もなかった。
ワラビとヒースしかなかったのに、今を見てみろ。
1エーカーの価値もなかったのに、今では餌が豊富にある。
80頭の羊がいて、一部には種を蒔いている。

ほんの少しだけ(*切り株が)残っているが、わしはそれを秋に根こそぎにするつもりだった。
今年はそうするつもりだったし、鋤で耕すつもりだった。
神と牧師がわしを放っておいてくれたなら―
わしと、地主様の800エーカーとわしの土地を。

神はわしを召すことが何になるか知っているのだろうか?
わしはあちらに豆、こちらにエンドウ豆といったように、植えれば生えてくるような人間ではない。
そして地主様もとても怒るだろう。ああ、ああ!
わしはマイケルマス(*9月29日、大天使ミカエルの記念日)から30年間、地主様のために働いてきたのだ。

ジョーンズを連れて行っても良かったのだ。やつには少しも分別がない。
あるいは若いロビンズを連れて行っても良かったのだ。やつは決して柵の修理をしなかった。
しかし、神はわしを、今、連れて行こうというのだ。
牛の半分が出産を控え、ターンビーの低地を耕さなければならないのに!

上流階級の連中がわしに会うと、どんなに優しく微笑むかを見てみろ。
やつらは心の中で、「何と信頼できる男だろう!」と思っているに違いない。
わしが地主様のために何をしてきたか、やつらは最初から知っているからだ。
わしは地主様に対して義務を果たし、皆に対して義務を果たしてきたのだ。

地主様はロンドンにいる。誰かが手紙を書かなければならないだろう。
わしが死んだ後、誰が土地を管理するのか、それがわしをとても混乱させる。
確かに、地主様はそれをジョーンズに任せることはないだろう。
ロビンズにも任せないだろう。やつは石を取り除くことができないからだ。

しかし、わしの後には、蒸気機関を持った誰かが来るかもしれない。
悪魔のチームが、祝福された畑を騒がせて、混乱させるのだ。
わしは死ななければならないのだから、死ぬしかない。人生は素晴らしいものらしいがな。
しかし、わしは死ななければならないのだから、死ぬしかない。それを見るに耐えないからだ。

そこで何をしているんだ、エール酒を持ってこないのか?
医者は禁酒主義者で、いつも同じことを言いやがる。
医者のためにルールを破るつもりはない。やつはハエよりも物を知らない。
わしのエール酒を持ってきてくれ、言っておくが、わしは死ななければならないなら、死ぬしかないのだ。

 

 

*原文はテニスンの出身地、リンカンシャーの方言で書かれています。

2025.5.26
https://www.poetryfoundation.org/poems/45371/northern-farmer-old-style

Marriage Morning 結婚の朝

 

Marriage Morning 結婚の朝

 

光よ、地上を低く照らす光よ、
 お前は太陽に閃光を送る。
ここに愛の、黄金の終局がある、
 私のすべての求愛は終わった。
ああ、すべての森と草原よ、
 私たちが雨を避けた林よ、
私たちが親しみ合った牧場の踏み段よ
 私たちが逢った草原よ!
光よ、谷間に差し込む光よ、
 お前は閃き、はるか彼方を照らす、
なぜならこれは愛の黄金の朝だからだ、
 そしてお前は愛の明けの明星だからだ。
閃光よ、私は行く、すぐに行く
 草原と踏み段と森を超えて、
ああ、私の目と私の心に射し込め、
 私の心と私の血の中に!
心よ、お前は決して倦まない愛に
 十分なほどに偉大だろうか?
ああ、心よ、お前は愛に十分なほどに偉大だろうか?
 棘と茨について私は聞いたことがある。
棘と茨の上に、
 草原と踏み段の上に、
世界の上に、その果てまでも
 降り注げ、百万マイルの閃光よ。

 

 

2025.5.9
https://www.poetryfoundation.org/poems/50299/marriage-morning

June Bracken and Heather   To — 六月のワラビとヒース 啓上

 

June Bracken and Heather To — 六月のワラビとヒース 啓上

 

丘の頂で、
一面の野生のヒースに囲まれ、頭上に六月の高い青空を頂いて、
輝くワラビと茶色のヒースを眺めたとき、
この本をあなたに捧げようと、私は心に決めたのです、
この本を、私の愛と一緒に、
七十七歳になるあなたに、
六月の高い青空のように澄み切った信仰と、
暗いヒースの中の、新緑のワラビのような想像力を持つ、あなたに。

 

 

2025.5.23
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/deathofoenone/junebracken.html