The Deserted House 廃屋

 

The Deserted House 廃屋

 

I.
命と想いは手に手を取って
 扉と窓を大きく開け放したまま、
 共に去ってしまった/
なんと不注意な住人たちよ!

II.
 家の中は夜のように暗く
 窓に灯る明かりはない/
 かつてはあんなにも頻繁だった
 ドアの蝶番の呟きも聞こえない。

III.
扉を閉ざせ、鎧戸を閉めろ、
 さもなくば、窓越しに見てしまうだろう、
 あの暗い廃屋の
剥き出しの姿と、虚ろさを。

IV.
さあ、立ち去ろう/ここにはもう歓喜も
 浮かれ騒ぎの声もありはしない。
この家は土で築かれたもの、
 ゆえに、また土に還っていくのだ。

V.
さあ、立ち去ろう。命と想いは
 もはやここに住んではいない、
  栄光の都―
遥か遠くの、偉大なる都に―朽ちることのない
 館を買ったのだ。
ああ、願わくば、我らと共に留まってほしかったものを!

 

 

2025.12.22
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/desertedhouse.html

To the Queen March, 1851. 女王陛下 1851年3月

 

To the Queen March, 1851. 女王陛下 1851年3月

 

畏れ多くも、親愛なる女王陛下—陛下は地上の
 いかなる武力も、
知力も、門地も、
 古の戦士であった王たちに与え得なかったほどに
気高い務めを果たし賜うております。

ヴィクトリア女王陛下—陛下はみ恵み深くも
 一度として卑俗な言葉を
 吐いたことがない先任者の緑輝く桂冠を
功なき私に授け賜りました/

もし陛下の偉大さと、帝国の重き
 責任の軛が、陛下に古の詩の価値の
 僅かなりともを現代の詩に
求め賜う時間を許すならば/

その時—甘美な調べが目覚め、
 そして三月の荒天の下でウタツグミが鳴き交わし、
 陛下の宮殿の壁の周りでアーモンドの花が
日差しを浴びて揺れているその時—

陛下がこのささやかな詩集を取り出し賜わんことを/
 たとえその欠点が、虚ろな寝室の埃のように
 渦高かろうとも、私は陛下の
ご厚情を信じ申し上げる者であるがゆえに。御代の長からんことを、

そして陛下と同じ気高い血を引く方々が、
 世の終わりまで、我らを治め賜わんことを!
 我らの子供たちのその子供たちがいつか
「女王陛下は民に末永い幸福をもたらされた。」と語らんことを。

「その宮廷は清廉であり/その生涯は穏やかであった/
 神は陛下に平和を授け賜い/その国土は安らぎに満ちていた/
 母であり、妻であり、そして女王であらせられる陛下に
数知れぬ敬愛の念が集まっていた/

「そして、その議会に集った
 政治家たちは、
 好機を捉える術を心得ており、
自由の境界をさらに広げていった。

「威厳ある法令を作ることによって、彼らはそれを行なったのである。
 それこそが、臣民の意思に広範な基盤を持ち、
 そして侵されざる海に守られた、
女王陛下の玉座を揺るぎなきものにしたのである。」と。

 

 

*テニスンが桂冠詩人になった後の最初の作品です。
2025.12.18
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/misc/tothequeen.html

On a Mourner 哀悼する者へ

 

On a Mourner 哀悼する者へ

 

I.
自然は、できる限りにおいて、
 神を模倣し、その顔を空の下の
あらゆる土地に向け、
 出会うものを何一つ卑しめることなく、
 あらゆる場所において生き、愛し/

II.
素朴な生垣を満たし、
 紫のライラックを開花させ、
風が流れる丘から一歩踏み出して、
 シギが鳴く湿地を緑にし、
 苔と絡み合った沼の葦で覆い/

III.
そして、あなたの心臓に指を置いて
 言う「より速く鼓動せよ、
時は快い、そして森も道も快い、
 そしてブナもボダイジュも
 新しい葉を出し、心弾む空気を感じている。」

IV.
そして、先に遥かな聖域に行った声の
 より深いささやきは、
その病んだ心に、あなたの意志を包み込む
 一つの大きな意志に従って、あなたの命の全てを
 一つの方向に傾けるという、より強力な選択肢を教える。

V.
そして、時を分かつ夜が、
 あの寂しく折れ曲がる暗い谷に消えたとき、
希望と記憶、夫と妻が、
 二人の間に生まれた、あの美しい子供と共に
 朝の境を超えてやって来る。

VI.
そして、死すべき者の振る舞いが
 墓を覆う芝の上の闇を乱さないなら、
沈黙と、震える星々の中から信念が、
 そして家の守り神のような美徳が
 まだ誰も歩いたことのない道を通ってやって来て、

VII.
帝国の約束を与えるだろう/それは、かつて真夜中に、
 全ての艦隊がクレタ島の岩だらけの
丘のそばで休んでいたとき、
 夢の中でトロイの放浪の王子に与えられて、
 犠牲を捧げさせ、奮起させたものである。

 

 

*トロイの放浪の王子とはアイネイアスのことです。ローマ建国の祖とされています。国破れたトロイから脱出してクレタ島にいたとき、夢の中で家の守り神ペナーテスに、移住するべき土地はイタリアであることを告げられました。
2025.12.16
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/ladyshalott/mourner.html

Song(A Spirit haunts the year’s last hours)  歌(精霊が一年の最後の数時間を彷徨っている)

 

Song(A Spirit haunts the year’s last hours) 
歌(精霊が一年の最後の数時間を彷徨っている)

 

Ⅰ.
黄色く色を変えた木立に棲む
精霊が一年の最後の数時間を彷徨っている:
  それは独り言を言う/
たそがれ時の散歩道で、熱心に耳を澄ますなら、
それが働きながら、すすり泣き、ため息をつくのが
  あなたにも聞こえるだろう/
  それは、朽ちてゆく花たちの重い茎を
地面にひれ伏させているのだ:
 あまりに冷たい土の中の、その墓の上に
  大きなヒマワリは重々しく垂れ下がり/
 タチアオイは重々しく垂れ下がり、
  オニユリは重々しく垂れ下がる。

Ⅱ.
空気は湿っぽく、静まり返って、息苦しい、
まるで死の一時間前に安らいでいる
  病人の部屋のように/
腐ってゆく葉の湿った豊潤な匂いに、
そして、足元のツゲの褪せてゆく輪郭の吐息に、
  そして、その年の最後のバラに
  私の心そのものが気絶し、私の魂の全てが悲嘆にくれる。
 あまりに冷たい土の中の、その墓の上に
  大きなヒマワリは重々しく垂れ下がり/
 タチアオイは重々しく垂れ下がり、
  オニユリは重々しく垂れ下がる。

 

 

2025.12.15
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/song.html

A Farewell 別れ

 

A Farewell 別れ

 

冷たい小川よ、海へと流れ下って、
 お前が捧げる波を送り届けよ:
もはやお前のほとりに、私は足跡を残さないだろう、
 とこしえに、とこしえに。

流れよ、静かに流れよ、芝生と牧草地のほとりを、
 小川として、やがて川となって:
お前のほとりのどこにも、私は足跡を残さないだろう、
 とこしえに、とこしえに。

しかしここでお前のハンノキはため息をつくだろう、
 そしてお前のヤマナラシは震えるだろう/
そしてここお前のほとりで、ミツバチは羽音を立てるだろう、
 とこしえに、とこしえに。

お前の上に千の日が差し、
 千の月が揺らめくだろう/
しかしお前のほとりに、私は足跡を残さないだろう、
 とこしえに、とこしえに。

 

 

2025.12.2
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/englishidyls/farewell.html

The Ballad of Orian オリアナのバラッド

 

The Ballad of Orian オリアナのバラッド

 

私の心は悲しみにやつれている、
   オリアナ。
私に安らぎはない、
   オリアナ。
こげ茶色の長い高原に雪がうねを立て、
北国のつむじ風が大きな音で吹き荒れる時、
   オリアナ、
私は一人、あちらこちらとさまよう、
   オリアナ。

闇に光が差す前、
   オリアナ、
真夜中に雄鶏が鳴いていた、
   オリアナ/
風は吹き、水は流れ、
我々は戦場に向かう馬の音を聞いていた、
   オリアナ、
空ろな角笛が鳴り響いていた、
   オリアナ。

夜のように暗いイチイの森で、
   オリアナ、
私は戦いに赴く前に、
   オリアナ、
至福の涙に目が見えなくなりながら、
星の光と月の光の下で、
   オリアナ、
私はあなたと結婚の約束をした、
   オリアナ。

彼女は城壁の上に立っていた、
   オリアナ/
彼女は軍勢の中の私の兜飾りを見ていた、
   オリアナ/
彼女は私が戦うのを見、私の叫びを聞いた、
その時、背の高い敵が前に進み出て、
   オリアナ、
私と城壁の間に立った、
   オリアナ。

その苦い矢は外れた、
   オリアナ:
その誤ちの、誤ちの矢は外れた、
   オリアナ/
その忌まわしい矢は的をかすめて外れ、
そしてあなたの心臓、私の愛しい人、私の花嫁を貫いた、
   オリアナ!
あなたの心臓、私の命、私の愛しい人、私の花嫁を、
   オリアナ!

ああ、戦場は狭く、狭かった、
   オリアナ!
角笛の音は大きく、大きかった、
   オリアナ。
ああ、致命傷は次々と与えられ、
戦場で戦いは激しさを増した、
   オリアナ/
しかし私は顔を伏せて倒れていた、
   オリアナ。

倒れた私を敵が突き殺してくれたら良かった、
   オリアナ!
どうして私が立ち上がって、そこを去ることができただろうか、
   オリアナ?
どうして私が顔を上げることができただろうか?
倒れた私を敵が突き殺してくれたら良かった、
   オリアナ。
敵が私を泥の中で踏みにじってくれたら良かった、
   オリアナ。

ああ、張り裂けそうで張り裂けない心よ、
   オリアナ!
ああ、青白い、青白い、甘美で柔和な顔よ、
   オリアナ!
あなたは微笑むけれども、話さない、
そして私の頬を涙が流れ落ちる、
   オリアナ。
あなたが望むものはなにか?あなたが求めるのは誰か?
   オリアナ?

私は大声で叫ぶ/誰もその声を聞きはしない、
   オリアナ。
あなたは私と空の間にいる、
   オリアナ。
血の涙が心から目へと
こみ上げてくるのを感じる、
   オリアナ。
あなたの心臓には私の矢が刺さっている、
   オリアナ。

ああ、呪われた手よ!ああ、呪われた一矢よ!
   オリアナ!
ああ、静かに眠っているあなたは幸せだ、
   オリアナ!
私の深い悲しみの横を
一晩中、静けさが流れていくようだ、
   オリアナ。
つらい、つらい道を私は歩いてゆく、
   オリアナ!

北国の風が海に吹き下ろす時、
   オリアナ、
私は歩くが、あなたのことを考える勇気がない、
   オリアナ。
あなたは緑の森の木の下に眠っている、
私は死んであなたの元に行く勇気がない、
   オリアナ。
私は海の咆哮を聞いている、
   オリアナ。

 

 

2025.12.2
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/juvenilia/oriana.html

To E. Fitzgerald E・フィッツジェラルド殿 啓上 

 

To E. Fitzgerald E・フィッツジェラルド殿 啓上

 

懐かしいフィッツ、かつて私がしばらく世話になった
 君の田舎の屋敷から、
君はめぐりめぐる変化の球体をちらりと見て、
 そして優しい笑顔でそれに挨拶する/
君の庭の木陰に
 座っている君を私は見る、
そして鳩は君の周りを飛び交い、
 肩、手、膝に止まり、
あるいは君の頭にバラ色の足を置く、
 まるでペテロの祈りのときに降りてきた
布の中でいっぱいに動いていたあらゆるものを
 君が食べないことを知っているかのように/
君はミルクと挽いた粉と草で生きている/
 そしてかつて十週間の長きにわらって
私は君のピタゴラスの食卓を試した、
 そして最初は体が空気のように軽く
人間を越えて漂う(シェイクスピアが言うところの)
 「空に昇ったもの」になったように感じたが、
大地が冬の闇に覆われ、
 空全体が霜に輝いていたある夜、
寒さが身に沁みて、不完全な精神的な高みから墜落し、
 再び肉を味わった、
すると半ば眠っていたような私に
 血が失っていたあの健全な熱が戻ってきた、
そして私に、その上に大きく枝を広げた
 エシュコルの巨大な蔓と
ブドウが待っている
 氷の岬と氷河を登らせた/外の
寒さ、そして私の中の暖かさが働いて
 夢を育んだからだ/しかし四旬節の食事が
悔い改めを育むなどとは誰も思わないだろう、
 あれほど優れた英語版が他にない、
君の素晴らしく出来の良い
 黄金の東洋の詩を読んだ者ならば/
それを放った
 太陽に等しい惑星、その大いなる不信心者である
君のオマル/そして君のオマルに
 現代の最も優れた文筆家たちは、
そしておそらく他の全てにも勝る二人の古い友達の
 地上ではもう聞けない二つの声も
惜しみない喝采を送った/
 しかし古い友達である私たちはまだ生きている、
そして私は七十四歳になろうとしており、
 君は七十五歳になった、
だから私は君におめでとうと
 言おう/私が忘れ去っていた本を
読みふけっていた息子はその中に
 一片の随分古い日付の
黄ばんだ書き付けを見つけた、そして
 これを受け取ったら、
私のフィッツ、君は喜んでくれると思う、
 それ自体に価値はなくとも、それが恵み深い時、
君が私の詩にいくらかの価値を見出し、
 そして私が君の称賛に大きな喜びを感じた、
若かりしロンドンの日々を。
 思い出させてくれるだろうから。

 

 

2025.11.30
・ケンブリッジ大学時代から友人だったエドワード・フィッツジェラルド(1809-1883)への手紙です。彼は大変裕福な家庭に生まれ、イングランド東部サフォーク州の田舎で静かに暮らしていました。
・めぐりめぐる変化の球体と言うのは地球のことです。
・フィッツジェラルドはベジタリアンでした。ペテロが祈っているときに降りてきた布の中にはユダヤ教で食べてはならないとされている生き物が入っていました。使徒行伝10章11節-16節。
・ピタゴラスも菜食主義者でした。
・エシュコルのブドウとは、モーゼの偵察隊が持ち帰ったカナンの地の豊穣の証拠です。
・四旬節とは復活祭前の四十日間で、質素な食事をする習慣があります。
・フィッツジェラルドはペルシャの学者・詩人ウマル・ハイヤーム(1048-1131)の四行詩集「ルバイヤート」の英訳で有名です。その内容は現世的で快楽主義的です。チャーチルは処女作「マラカンド野戦軍の物語」の中で二篇を引用しています。
・「それを放った(cast)太陽に等しい惑星」当時、惑星は太陽から飛び出したものと考えられていたのかもしれません。
・二人の旧友とは有名なアーサー・ヘンリー・ハラム(1811-1833)と植民地行政官ヘンリー・ラシントン(1812-1855)のことと思われます。全員が同時期にケンブリッジ大学に在籍していました。フィッツジェラルドの「ルバイヤート」が世に出たのは彼らの死後のことです。
・テニスンは1833年の詩集を酷評され、その後しばらく作品を発表しませんでした。1842年の詩集は大成功を収めたので、テニスンがフィッツジェラルドの称賛を喜んだのはこの時期のことと思われます。
https://www.telelib.com/authors/T/TennysonAlfred/verse/tiresias/efitzgerald.html

from The Princess: Tears, Idle Tears 「王女」より:涙、かいなき涙

 

from The Princess: Tears, Idle Tears 「王女」より:涙、かいなき涙

 

涙、かいなき涙、その意味するところを私は知らない、
涙は何らかの神聖な絶望の淵から
心にわき上がり、目に集まって来る、
幸せな秋の野原を眺めて、
もはや過ぎ去った日々を思う時に。

   それは冥界の友を運んでくる帆を、
最初に輝かせる光のように鮮やかで、
すべての愛する者たちとともに水平線の向こうに沈んでゆく帆を
赤く染める最後の光のように悲しい/
とても悲しく、とても鮮やかだ、もはや過ぎ去った日々は

   ああ、それはまだ暗い夏の夜明けに、
死にゆく目に窓がゆっくりと四角く輝き始める前に、
死にゆく耳に聞こえてくる目覚めかけた鳥たちの
最初の鳴き声のように、悲しく、奇妙だ/
とても悲しく、とても奇妙だ、もはや過ぎ去った日々は。

   それは死後に思い出されるキスのように愛しく、
望みなき空想によって別人の唇にする
偽りのキスのように甘い/愛のように深く、
初恋のように深く、そしてありとあらゆる後悔で狂おしいほどだ/
ああ、もはや生の中の死だ、もはや過ぎ去った日々は!

 

 

2025.11.19
https://www.poetryfoundation.org/poems/45384/the-princess-tears-idle-tears

from The Princess: Come down, O Maid 「王女」より:下りて来い、乙女よ

 

from The Princess: Come down, O Maid 「王女」より:下りて来い、乙女よ

 

  下りて来い、乙女よ、
その高い山から:
高くて(羊飼いは歌った)高くて寒い、
輝く丘に何の楽しみがあるのか。
もう天国に近づくのはやめ、
枯れた松に日差しを滑らせるのもやめ、
きらめく尖峰に星を座らせるのもやめて/
そして下りて来い、愛は谷にいるのだから、
下りて来い、愛は谷にいるのだから、下りて来て
そして見つけるのだ/幸福な敷居のそばにいる、
あるいはトウモロコシ畑で人々と手を取り合っている、
あるいは大桶から噴き出す紫に赤く染まっている、
あるいはブドウ畑のキツネのような、愛を/それは
死と朝とともに銀色の峰の上を歩くことを好まず、
白い峡谷で君の罠にかかることもなく、
急峻な岩の裂け目に詰め込まれた雪の斜面が
奔流になって暗い扉からあふれ出した
氷の溜まりに倒れているところを見つかることもない:
だから、ついて来い/それを見つけに谷に下りる君を
踊る雪崩に送り届けさせよ/頭の瘦せた
野性の鷲たちには鳴かせておけ/巨大な絶壁には傾かせ、
千の水煙の花輪を降り注がせておけ、
それらは空中に浮かんでは、空しい希望のように消えてゆく:
君をそのように空しくするな/だから下りて来い/谷中が
君を待っているのだから/炉辺には
君のために青い煙が立ち上る/子供たちの声、そして
君の羊飼いである私の笛、そしてあらゆる音は甘い、
君の声はもっと甘い、しかしあらゆる音は甘い/
芝生を急いで下る無数の小川、
無数の年を経たニレの木でうなるハト、
そして無数のミツバチのざわめきの音は。

 

 

*スイスのグリンデルワルト滞在中に書かれたものです。ユングフラウという山が有名です。
202511.18
https://www.poetryfoundation.org/poems/45378/the-princess-come-down-o-maid

St. Agnes’ Eve 聖アグネス祭前夜

 

St. Agnes’ Eve 聖アグネス祭前夜

 

修道院の屋根に厚く積もった
雪が月明かりに輝いている:
私の息は湯気のように天へと昇ってゆく/
私の魂も、まもなくそれに続かんことを!
修道院の塔の影は
雪原に斜めに伸び、
忍び寄る時とともに忍び寄って、
私を主のもとへと導いてくれる:
主よ、わが魂を、凍えるほどに冷たい空のごとく、
あるいは、この私の胸の
今年最初のマツユキソウのごとく、
清らかに、澄ませたまえ。

この汚れて黒ずんだ白い衣を、
あの輝く雪面に/
この青白いろうそくの地上の火を、
あの銀色の月に/
そのようにわが魂を子羊に、
わが心を御前にお示しします/
そのようにこの地上の家にいる私と
私がなりたいものも違っています。
おお、主よ、天を引き裂きたまえ!そして
白く清らかな衣装の、あなたの花嫁である私を
きらめく星にして、あの星たちの間を
鋭く遠く引き上げたまえ。

主は私を黄金の扉へと引き上げて下さり/
閃光たちが行き交い/
すべての天は、その星の床を破裂させ、
その光を下界に散りばめ、
そして、さらに眩しく、燦然と輝かせる!
門が開かれ、遠い内側で
私の罪を清めようと、
天の花婿が待って下さっている。
永遠の安息日、
広く、深い、一つの安息日—
輝く海に差す光―
その花嫁と花婿!

 

 

*キリスト教では信者は神の花嫁になぞらえられます。聖アグネス(291-304)は異教時代のローマ帝国に生まれましたが、「キリストの花嫁になる」ため高官の息子との結婚を拒んで迫害され、殉教しました。聖アグネスの日は1月21日です。
2025.11.17
https://www.poetryfoundation.org/poems/45388/st-agnes-eve